頻発する自然災害
近年、地震被害に加え、超大型台風による被害、豪雨による土砂災害、水害と自然災害が頻発しています。この自然被害により木造住宅にも大きな被害が出ています。木造住宅事業者として、自然災害による被害を無視して住宅をつくることはできなくなる状況にあります。
そこで、自然災害に対して木造住宅がどのように対応するべきかを考えていきましょう。
自然災害として、地震被害、台風被害、土砂災害、水害、津波被害などがあります。
大きく分けると、地震被害と台風被害は構造計算により安全性を確保できます。しかし、土砂災害、水害、津波被害に関しては構造計算で安全性を確保できるものではありません。
これら被害については、「避難」という選択になります。仮に、これから建設地を求めるようであれば、ハザードマップなどにより、これら被害の発生する可能性のある土地、地域を避けることも大切です。
木造住宅事業者は、建物を建てるだけではなく、自然災害被害をいかに防ぐかも提案していく必要があります。
避難について考える
避難することの難しさ、自然災害の状況をテレビで見ていて思おうことです。豪雨で土砂債が、水害の恐れあり、土砂災害の警報、河川の増水、決壊、氾濫の恐れあり・・
頻りにテレビで警報が流れていても、実際にその地域に住んでいたら避難する気になれるのか?家にいた方が安全と考えてしまうのではないか?
そう考えてしまいます。避難は見極めが難しい・・
実は、避難すると決断する勇気が必要なのかも、と思うことがあります。
まずは、自然災害の状況から考えてみます。
土砂災害、津波被害は必ず逃げる必要があります。巻き込まれたら木造住宅は大きな被害を受け、命に係わる危険な状況です。ここで重要なことは、ハザードマップの想定にとらわれ過ぎないことです。東日本大震災では、津波被害で命を落とした人の多くはハザードマップの津波被害エリアの外側の人、想定外の津波被害に巻き込まれました・・
ハザードマップは自然災害の目安として参考になりますが、被害想定にとらわれ過ぎないことも重要です。
次に、水害について、これは避難に迷います。木造住宅の規模で考えると平屋建てはいち早く非難した方が良いと思いますが、二階建てが迷う・・水平避難(避難所等に避難)か垂直避難(上階に避難)で迷います。
やはり考えるべきは、もっとも安全な避難はどれなのか?そう考えると、いち早く水平避難することだと思います。
避難するタイミングが遅くなるほど、避難途中で水害に巻き込まれる可能性も出てきます。やはり避難は「できるだけ早く、最も安全な避難を」がポイントだと思います。
避難するとき決めておきべきこと
最後に、避難するときに決めておくべき重要なことがあります。それは、家族で話し合う避難方法です。津波被害、水害等で避難したにも関わらず巻き込まれ命を落とした方の多くは、避難場所に直行せず「家族を探す」という選択をしました。これが問題・・
危機が迫る状況で家族を探しあっても出会える可能性はかなり低い、そこで家族で話し合い決めておくべきことは「それぞれがいち早く避難し、避難した場所で出会う」ということです。この約束事が命を守るためにはとても重要です。
このようなことも住宅をつくるプロとして、お客様と話してみるのも良いのではないでしょうか。
今回のテーマは自然災害というとても難しいテーマで、住宅事業者としてどのように関わるべきか僕自身もよくわかってはいません。いま、考えていることを述べてみました。
今後、構造塾では耐震だけではなく自然災害に対応する方法をテーマに講座を構成したいと考えています。
第1回:どうして「構造」って難しいの?
第2回:なぜ、構造計算をしないでいられるのか
第3回:「経験と勘」では木造住宅は安全にも快適にもならない
第4回:構造計算できない人に「経験と勘」はない!
第5回:荷重に対する感覚が重要 雪の重さは半端ない!
第6回:熊本地震その後、益城町のいま2019年
第7回:四号特例について考えてみる
第8回:四号特例について考えてみる その2
第9回:木造住宅の構造安全性確認方法について
第10回:四号建築物の仕様規定
第11回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その1
第12回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その2
第13回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その3
第14回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その4
第15回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その5
第16回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その6
第17回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その7
第18回:四号建築物の仕様規定 8項目の仕様ルール その8
第19回:自然災害について考える