◆不動産業のIT導入の予定は電子契約、IT重説
◆システム導入・非導入で一人当たり売上高に630万円の差
全日みらい研究所が「不動産業における新技術のあり方検討に係る現状調査分析レポート」をまとめた。東京大学連携研究機構「不動産イノベーション研究センター」との連携協力に関する協定に基づく調査で、宅建業者の業務におけるITシステムなどの導入状況また、そのニーズを把握することが目的だ。調査対象は(公社)全日本不動産協会の会員で、回答数は532。
同調査によると、ITシステムの導入は「エクセルなどの表計算ソフト」(316)が最も多く、次いで「導入していない」(156)でありITシステムに頼らずに業務を行っている事業者が少なくなく、使っていてもエクセルにとどまっている状況が浮き彫りになった。また、これら以外の回答では「WEB会議システム」、「不動産情報管理システム」があげられている。
一方で、今後の導入予定・導入希望をみると、「電子契約システム」、「IT重説のためのシステム」、「不動産情報管理システム」への関心が高く、次いで「システム」、「不動産情報管理システム」への関AI等による価格査定システム」が続く。ただ、「特に導入予定・希望はない」が256件と最も多く、システムの導入に慎重な事業者が多く存在している。
「電子契約システム」は、インターネットなどの通信回線による契約で、契約成立の証拠として電子署名やタイムスタンプを付与した電子ファイルを利用するもの。国がIT化を推進し、デジタル改革関連法が成立するなどの変化を踏まえたものとみられる。ほぼ同数となった「IT重説のためのシステム」も同様と考えられると指摘している。
今後の導入予定・導入希望を回答者属性別にみると、「AIなどによる価格査定システム」は、従業員5人以下の事業者が8割を占め、「不動産情報管理システム」も同様に5人以下が4分の3を占める。
従業員一人当たりの売上高をシステムの導入状況別でみると、何らかのシステムを「導入済み」と回答した事業者は、「導入していない」事業者よりも平均630万円余り高いことも分かった。
レポートでは「大規模事業者のみならず、人的ソースの限られた小規模事業者においてもDXの推進による経営効率向上への期待をうかがわせる数値が示された」と分析している。
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