◆2021年の住宅着工は5年ぶりに増加
◆コロナ禍からの回復基調は続くのか
国土交通省が発表した2021年(1~12月)の新設住宅着工戸数は85万6484戸、前年比5.0%増と5年ぶりの増加となった。
利用関係別にみると、持家が同9.4%増と前年の減少から再びの増加に転じ一割近い増加となったほか、貸家が同4.8%増と4年ぶりの増加、分譲住宅も同1.5%増と前年の減少から再びの増加に転じた。利用関係別すべてで増加と、住宅着工は堅調に推移したといっていい。
コロナ禍で在宅時間が増加し、より快適な住環境を求めるニーズが高まった。また、テレワークが広がるなかで、都市中心部から郊外へという人の流れが顕在化した。これらコロナ禍で生じた住宅に対するニーズが数字に表れた結果といえそうだ。
分譲住宅を細かくみると、一戸建住宅が同7.9%増加したものの、マンションは同6.1%減と2年連続の減少となった。マンションについては、都心や駅近といったマンション適地の地価が高騰していることなどからデベロッパーが新規供給を絞っていることが影響しているようだ。実際、新築分譲マンションに対する強いニーズに対して供給不足が生じており、不動産経済研究所によると、2021年に売り出された新築分譲マンションの平均価格は同2.9%アップと過去最高値となっている。
足元の住宅着工をみると、2022年1月は貸家が同16.6%増と引き続き好調なものの、持家が前年同月比5.6%減、分譲住宅が同4.9%減とブレーキがかかり始めている。今後の住宅市場はどのように推移するのだろうか。
建設経済研究所の「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(1月発表)によると、2021年度 (4~3月)は前年度比5.8%増の約86.0万戸と予測している。コロナ禍からの回復に加え、税制改正で住宅取得支援策の一部延長が決まったことなども増加の一因と見る。
ただ、大都市圏や分譲住宅の増勢の鈍化を見込み、住宅需要の回復の勢いが一服することから、2022年度は前年度から微減となり、前年度比2.0%減の84.2万戸と予測している。
持家は回復の動きが一服して同0.7%減の28.4万戸、貸家は首都圏での回復が緩やかなものになることから同2.5%減の31.5万戸、分譲住宅は戸建住宅、マンションともに大都市圏郊外での供給が底堅く推移するが都心の高額.大型物件などが減少するとみて弱含みと予測し同2.9%減の23.8万戸と予測した。
2022年度は、住宅需要の回復に一服感が出る年となりそうだ。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.05」
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