◆令和3年の水害被害額は3700億円、
被害建物棟数は1万5397棟に
国土交通省が「令和3年の水害被害額(暫定値)」を算出した。
同省では、昭和36年より、水害(洪水、内水、高潮、津波、土石流、地すべり等)による被害額等を暦年単位でまとめている。これによると、令和3年の水害被害額は、全国で約3700億円となり、過去最大となった令和元年や平成30年を除きほぼ例年と同じ金額だったことが分かった。
内訳は、一般資産等被害額が約1500億円(構成比40%)、公共土木施設被害額が約2200億円(構成比58%)、公益事業等被害額が約93億円(構成比2%)。
被害建物棟数は1万5397棟。全壊・流失138棟、半壊1765棟、床上浸水4494棟、床下浸水9000棟に至る。
一方、水害区域面積は、宅地・その他が2939ヘクタール、農地が1万4813ヘクタールの計1万7752ヘクタール。
水害被害額は、佐賀県や福岡県、広島県に大きな被害が及んだ「令和3年8月の大雨」によるものが約2400億円で65%を占めている。中国地方で発生した線状降水帯の影響で、複数の地点で日降水量が8月の値の1位を更新するほか、佐賀県嬉野市で24時間降水量が観測史上1位の値を更新するなど、記録的な大雨となった。
河川の氾濫や、土砂災害により、佐賀県、福岡県、広島県などで死者13人、家屋の全壊が約50棟、半壊が約2000棟、床上浸水が約4000棟、床下浸水が約6000棟という被害が発生した。
次いで被害が大きかったのが「令和3年7月1日からの大雨」で、被害額は約830億円であった。梅雨前線が6月末から7月上旬にかけて西日本から東日本に停滞し、西日本から東北地方の広いエリアで大雨となり、河川の氾濫や土砂被害などが発生した。
これらにより、島根県、広島県、静岡県などで死者27人、行方不明者2人、家屋全壊約60棟、半壊約100棟、床上浸水約600棟、床下浸水約3000棟という被害となった。特に、静岡県熱海市伊豆山の逢初川で起きた大規模な土石流により、人的被害、住家被害などの極めて甚大な被害が発生した。