YKK AP株式会社が発行する建築業界情報紙「メディアレポート」では、毎月様々な情報をお届け。「クローズアップ」記事では国や企業・シンクタンク等の最新の調査から見えてくる業界動向や住まい手の嗜好・傾向などをご紹介しています。その中で今回は「賃貸住宅での環境配慮が加速」と題した記事をご紹介します。
今回ご紹介するのは「メディアレポート 2023.5」に掲載された記事です。冊子PDFは下記よりご覧ください。
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賃貸住宅での環境配慮が加速
賃料への影響は小さいがステークホルダーの要請に対応
資産運用会社、不動産管理会社、金融機関などが賃貸住宅の環境配慮を積極的に推進していこうと考えていることが三菱UFJ 信託銀行の「2022年度賃貸住宅市場調査」で明らかになった。
同調査には、資産運用会社、不動産管理会社、金融機関の計24社が回答した。
「今後1年間のリーシングマーケット全体に与える影響が大きいと考える」項目は、「個人の就業環境や収入の増減」が群を抜いて多くトップ。次いで「テレワーク等の働き方の変化」と「新型コロナウイルス等の感染拡大の状況」が同率で次点となった。
「保有/運用・管理する賃貸住宅に対する環境配慮の取り組み方針」では、「すでに取り組んでおり、今後も積極的に推進する」が64%と6割を超えた。さらに「今後も継続して検討する」との前向きな回答を加えると100%となり、環境配慮の取り組みが不可欠となっている。その背景としては、「ステークホルダーからの要請があるから」が4割超えと群を抜いて多い。
「保有/運用・管理する賃貸住宅における環境配慮の具体的な取り組み」としては、「LEDや省エネ家電等の初期投資が小さい投資」が9割を超えてトップ。次いで、「再生可能エネルギーの外部調達」が4割強、「昇降機の交換等の初期投資が大きい設備投資」が1割強、「環境性能の低い賃貸住宅の売却・売却提案」が1割弱。同社では「現時点では、比較的敷居の低い取り組みを中心に普及が進んでいることが確認された」としている。
こうした環境配慮の成約賃料への影響について「環境に配慮された賃貸住宅とそうではない賃貸住宅を比べた際の成約賃料の違い」を訊ねた設問では、違いはある(成約賃料が高い)」との回答は2割強にとどまり、「違いはない」が約8割となった。さらに「違いはある(成約賃料が高い)」との回答者に「成約賃料の違いの程度」を聞くと全者が「0〜+3%」と回答。環境配慮が成約賃料に与えるインパクトは小さいと捉えられている。