YKK AP株式会社が発行する建築業界情報紙「メディアレポート」では、毎月様々な情報をお届け。「クローズアップ」記事では国や企業・シンクタンク等の最新の調査から見えてくる業界動向や住まい手の嗜好・傾向などをご紹介しています。その中で今回は「ZEH採用意向が大幅増加」と題した記事をご紹介します。
今回ご紹介するのは「メディアレポート 2023.6」に掲載された記事です。冊子PDFは下記よりご覧ください。
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ZEH採用意向が大幅増加
認知度は半数弱と急速に高まる
(一社)住宅生産振興財団と住宅展示場協議会による、2022年度の「住宅展示場来場者アンケート」で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の認知度が急速に高まり、ZEH採用意向が大幅に増加したことが明らかとなった。調査は2022年8〜9月に全国の総合住宅展示場33会場に来場した人に対して実施。有効回収数は644票であった。
これによると、ZEHについて「内容をよく知っている」、「内容を少しは知っている」と答えた人は全体の47.7%。「名前は知っているが、内容はほとんど知らない」を加えると、69.4%と約7割の認知度となった。21年と比べると「内容をよく知っている」で2.2ポイント、「内容を少しは知っている」で10ポイントの上昇となり、22年はZEHの認知度が急速に高まった年だということがわかる。
また、ZEHの導入・採用意向をみると、「既に導入・採用を進めている」(6.4%)、「導入・採用を検討している」(10.6%)、「導入・採用したいと思う」(46.4%)の合計が63.4%と、採用への意向も強くなっている。前年と比べても、いずれも増加しており、特に「導入・採用したいと思う」は3割近い増加を示した。
ZEHの関心点では、半数を超える人が「補助金や税制優遇の制度がある」に非常に強い関心を示した。住宅取得の補助制度では高い省エネ住宅ほど優遇が手厚くなっており、そうした施策をきっかけにZEHにも関心が集まっているとみられる。住宅に求めるものとしては、ZEH意向のある人は「省エネ・エコロジー性能の高さ」、「災害にも安全・安心な暮らし」、「セキュリティの充実」などの項目がZEH意向のない人より5ポイント以上高く、住宅の性能への関心が高いことが伺える。一方で、ZEH意向のない人では「設計の自由度」、「個性が発揮できるすまい」などの値が高く、ZEHを採用することで理想の住居が実現できなくなることを危惧しているようだ。
「こどもみらい住宅支援事業」への評価では、7割の人が「建築する住宅の省エネ性能を向上させるきっかけになる」としている。また、「住宅建築を考えるきっかけになる」の回答も5割を超えており、環境意識の高まりとともに住宅建築への動機づけとして評価する人が多い。