構造計算って専門的でとっつきにくいと思っていませんか。
物理・数学が苦手な人でも、逆転の発想でルールと結果を見れば、構造計算の中身はわからなくても、暗算で耐震等級3を標準化できるようになります。その上、地域工務店が売れるためのデザイン性を向上し、お客さまの要望も受け入れ、さらにコストダウンも見えてきます。
2025年に四号建築物が無くなれば、いよいよ構造計算に取り組む必要もあります。
難しいと思っていた構造計算が算数レベルでできる逆説の構造概論を連載します。
◆耐力壁の足は何本?
「小学校で習ったつるかめ算が、大人になって役立つなんて思わなかったけど、まさか、構造計算で使うとは……」
まだまだ、次の考え方でもつるかめ算は使いますよ。
前回は、1階の床面積さえ出してしまえば、それがそのまま必要な地震時の必要耐力量となることをお話ししました。ただし、「もし、軽い屋根の2階建で耐震等級2を建てるなら……」という仮定の場合ですが……
ちょっと『kN』という単位がイメージしにくいかもしれませんが、床面積がそのまま必要耐力量なので計算はまったく要りませんよね。
そして、この必要耐力量が、鶴と亀の足の本数の合計ということです。
問題は、鶴や亀のそれぞれの足の本数を知っておかなければなりません。
地震に対抗する耐力壁には、「壁倍率」というのがあります。
「それはよく聞くよね。耐力壁の作り方で、いろんな倍率があるんでしょう?」
そうです。
じつは、その壁倍率が、とても簡単な計算で『kN』に換算できるのです。壁倍率1倍の耐力壁は、1.96kNのせん断耐力を保有しているということです。
つまり、壁倍率にこの数値を掛ければ、耐力値『kN』の計算ができます。
床面積が鶴と亀の足の総合計だとすれば、この掛け算の結果が、鶴と亀ならぬ、それぞれの耐力壁1mあたりの足の本数みたいなものです。
ただし、1mあたりの『kN』数なので、尺モジュールで計算する場合は、さらに0.91を掛けなければなりません。
たとえば壁倍率2.5倍であれば、次のようになります。
「こうなると、暗算っていうわけにはいかなくて、電卓が必要だなぁ。
それに、いろんな倍率の壁を組み合わせたら、鶴と亀だけじゃなくて、カブト虫にタコやイカまで足の勘定をしなけりゃならなくなる。」
おっしゃる通りですが、まだまだ過程の話ですから、もう少しおつきあいください。それと、つるかめ算を思い出すと、「もしすべてが、、、」という仮定から始まりました。この手法をもう一度使い、最初にどれか一つの耐力壁の足の数で想定して計算を始めれば良いのです。
では、どのような壁倍率で仮定すれば良いのでしょうか。
良く使われることが多い2.5倍でしょうか、
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