秋は台風が多い季節。温暖化の影響から台風が大型化し、発生数も増えているため、住まいへの被害を最小限に抑える対策について知っておくことが大切です。
連載第4回は、住まいの台風・暴風雨への備えと万が一の対応、新築・リフォームの際ぜひ取り入れたい台風対策商品をご紹介します。
◆住まいの台風や暴風雨に対する備え
温暖化の影響で、台風の大型化や暴風雨被害の拡大が進んでいます。2019年の台風15号では各地で観測史上最も強い風が吹き荒れるなど、甚大な被害をもたらしたことは、記憶に新しいと思います。台風の進路が以前と比べて変化し、各地で降水量の観測史上1位を更新する状況なども踏まえると、強風や豪雨に対する備えは、全国的に待ったなしの状況です。
まず初めに、台風接近や暴風雨が予想される前にチェックしていただきたい住まいの対策からご案内します。
・お住まいの窓やドアへの台風や暴風雨時の備え
https://faq.ykkap.co.jp/down.php?attach_id=1272
事前の備えとよくある誤解
台風・暴風雨対策は、事前の備えがカギになります。お客様相談室に対しても「普段使用していない雨戸やシャッターを動かそうとしたら動かない」「台風前にメンテナンスをしておきたい」などの問い合せが増える傾向にありますので、災害時に慌てないためにも、お客様への定期点検や注意喚起も兼ねて、以下の台風対策等をご案内いただければと思います。
〇窓からの雨水浸入対策
窓の下枠レールやバルコニーの排水溝に砂やゴミ、落ち葉などがたまっていると、雨水があふれて、窓から住居内に水が浸入する恐れがありますので、日頃から清掃をお願いします。
〇飛来物による窓ガラス割れ対策(養生テープの効果は?)
強風で飛ばされたものがあたって窓ガラスが割れるのを防ぐため、お庭やバルコニーに出ているものを片付ける・固定するなどの対応をお願いいたします。
なお、お客様からいただく問い合せで、誤解されやすいものの1つが、台風が近づくとSNSなどでも話題になる『窓ガラスに×印、または「米」の字のように養生テープを貼ることで、強風により窓ガラスが割れてしまうのを防いでくれる』という情報です。割れたガラスが飛び散ることを防いだり、割れないようしたりする効果は確認できておりませんので、注意が必要です。
ガラス割れや室内へのガラスの飛散を防ぐには、雨戸やシャッター、またブラインドやカーテンを閉めていただくようにご案内いただければと思います。
養生テープを貼った窓
〇窓や網戸のはずれ止めをチェック!
強風で外れ、飛ばされる恐れがありますので、窓や網戸のはずれ止め部品が、お掃除などで外されたままで戻していないことなどがないように、必ずセットされていることをご確認ください。
・窓のはずれ止めについて
https://www.ykkap.co.jp/consumer/support/maintenance/1328
・網戸のはずれ止めについて
https://www.ykkap.co.jp/consumer/support/safety/amido/
〇エクステリア商品の点検を
強風や豪雨で一番に影響を受けるのが、エクステリア商品です。飛ばされたり、浸水したりするのを防ぐため、事前に以下のような点を チェックしていただければと思います。
①ユニット式バルコニーやカーポートの雨どいからゴミを取り除き、水はけをよくしておく
②オーニングやシェードは巻き上げて、しっかり収納しておく
③カーポートは、吹き上げる強風により破損してしまう危険があるため、サポート柱がある場合は、装着する(※サポート柱はオプション品です)
・(FAQ)カーポートのサポート柱の取り付け方、外し方を教えてください
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8592
〇停電への備え(電動商品の確認)
急な停電に備えて、電動シャッターや玄関ドア電気錠などの電動商品について、非常時の操作方法を予めご確認ください。
停電で電気錠(スマートコントロールキー AC100V式)が作動しない場合も、非常のカギにより施解錠が可能ですので、外出の際は、必ず非常用のカギを携帯いただくように、ご案内ください。
・(FAQ)スマートコントロールキーを、非常時に手動で施開錠することはできますか
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8495
台風通過中や暴風雨時の注意点
今まさに台風通過中や暴風雨という状況下での注意点や、お客様が誤解されやすい現象をご紹介します。
〇窓・ドア、及び雨戸・シャッターをしっかり閉める
雨水の浸入や、強風であおられて破損やケガしてしまうのを防ぐため、窓・ドアを閉め施錠し、開閉はできるだけお控えください。
また、雨戸・シャッターがあれば、最後までしっかりと閉め、ロックをおかけ ください。
〇下枠に水が溜まる現象
室内側から見てサッシの下枠に水が溜まっているのが見えると、不安になられたお客様から「窓から雨漏りしている」と慌ててご連絡をいただくケースがあります。これは一般的なサッシの構造上、水密性能を保持するために必要なことであり、不具合ではありません。
※サッシの性能を上回る条件になった場合は水があふれ出てくることがありますので、雑巾などを窓枠に当てて拭ってください。
・サッシの水密性能について(以下リンク先の「水密性」参照)リンク先の「水密性」https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/cv.do?c=10547530000&pg=79&v=YKKAPDC1&d=user
・(FAQ)強風雨時などにサッシのレール(下枠)に水が溜まるのですが、どうすればいいですか?
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8
台風や暴風雨の後に気を付けたいこと
台風通過後や暴風雨の後は、停電が発生して電動商品に影響が生じたり、窓やドア・エクステリアなどが破損している可能性がありますので、点検が必要です。ガラスが割れるなど破損や異常があった場合、建築会社や専門業者に連絡し、高所での危険な作業は絶対にご自身で行わないようご案内ください。
〇電動シャッターの「非常開放機構」
「閉めていたシャッターが停電で開けられない」「シャッターを開けて窓から脱出する必要がある」そのような緊急時は、非常開放機構により手動で開閉が可能です。
なお、停電から回復後には、電動へ復帰させるようにしてください。
※サイズや仕様により非常開放機構がないシャッターもありますので、ご注意ください。
・(FAQ)電動シャッターを停電などの非常時に手動で開けられますか?
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8283
・非常開放機構操作後の電動への復帰方法
https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/cv.do?c=10539130000&pg=57&v=YKKAPDC1&d=user
〇エクステリア商品の一部が破損
「カーポートの屋根が飛ばされた」「強い風にあおられて部品が壊れて開閉できなくなった」など修理依頼があった場合、商品により対応が異なるため、まずは商品特定の上で、業者に依頼してください。
・商品特定のために必要な情報はこちら
https://faq.ykkap.co.jp/faq_detail.html?id=8445
〇落雷による故障の保険適用について
落雷による電動商品の故障は製品保証対象外となります。お客様がご加入の「火災保険」等の保険対象となっている可能性もありますので、依頼を受ける際はお客様にお伝えして、お客様から契約先の保険会社にお問合せいただくと安心です。
◆台風や暴風雨に強い家づくり
これからの建築を考えたとき、「長期的に災害に強い家」であることは欠かせない要素となります。暴風やそれに伴う飛来物、ゲリラ豪雨などからの被害を抑制し、大切な家を守る対策商品を紹介していきます。
・めざそう災害に強い家
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/products/articles/consumer/disaster/typhoon/
・窓でできる台風対策(カタログ)
https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/cv.do?c=9750350000&pg=1&v=YKKAPDC1&d=user
・窓でできる台風対策(動画)
https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/ykkap_channel/player.php?c=C02&sc=C02-01&mid=779
シャッターの取り付けが効果的
一戸建てにおける窓シャッター・雨戸の装着率(戸数比)は、関東・近畿は防犯面への期待効果もあり8割超、台風上陸数の多い九州では7割弱と高い値を示す一方で、従来では台風接近が少なかった東北や北陸では1割を切っている状況です。(一般社団法人日本サッシ協会『2021年3月 住宅用建材使用状況調査報告書』より)
また、台風の多い地域であっても、1階に比べ2階窓の装着率が3割ほどと差があり、2階の装着率は少ないことが分かっています(YKK AP調べ)。1階は外構や植栽で風を多少は防ぐことができたとしても、2階は吹きさらしになり屋根瓦が剥がされて飛んでくるリスククも高まります。
先ほども触れた通り、台風や暴風雨の発生状況が変化していることを考えると、シャッター・雨戸の設置については、今まで装着率が低い地域や、2階の窓へもご提案いただきたいところです。
・2階の窓へのシャッターの必要性について
https://www.youtube.com/watch?v=1uOh1t3fVoc
「シャッター」で暮らしに安心と快適を
飛来物が当たって窓ガラスが割れると、破片や物が散乱し室内が危険な状態になりますし、強風が室内に吹き込むことで屋根が吹き上がってしまう可能性もあります。また、吹き込んだ雨が腐食やカビの原因となる心配もあります。新築時やリフォームでもご検討いただけるシャッターの種類は、以下よりご確認ください。
〇従来比1.5倍の耐風圧性能「耐風シャッターGR」
リモコンひとつで簡単操作ができ、開け閉めの音が静かなのが特長。モーターロックと非常開放機構で、非常時でも安心です。
耐風シャッターGR
・耐風シャッターGR
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/windproofshutter_gr
〇リフォームなら「マドリモシャッター」
既存住宅の窓に壁の上から後付けできる商品で、取付けをあきらめていた場所や様々な納まりにも対応することで、ほぼ全ての窓へのシャッター設置のご提案ができます。2018年の発売以来、納まり対応のカバー範囲が広くなり、業界ではトップクラス。窓の設置環境に応じたものをとりそろえ、2階バルコニー部の窓や雨戸付き窓、出窓対応のシャッターも登場しています。
マドリモシャッター
・マドリモシャッターラインアップ
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/madoremo-shutter_screendoor
窓ガラスから台風対策
台風の通り道になる地域では、窓に求められる風への性能、水密性能ともに非常に高いレベルが求められます。そういった度重なる台風多発地域にも耐えうる窓を開発しようということで登場した商品が「エピソードⅡ NEO-R」です。風圧に耐える強度の窓フレーム、下枠形状による高い水密性が特長です。
※風による飛来物対策を強化するなら、+安全合わせガラス、+シャッターが有効です。
・小窓も対応「エピソードⅡ NEO-R」
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/apsword2_neor
・飛来物対策に「安全合わせガラス」
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/glass_security
台風を考慮したエクステリア商品
シャッターや窓の他にも、これから起こり得る災害レベルに合わせてお選びいただけるエクステリア商品があります。お住まいの地域や、お客様の好みや暮らし方に即したご提案につなげていただければと思います。
〇高強度・高意匠のカーポート「ジーポートPro」
耐積雪性能に加え、耐風性能は業界最高峰の62m/秒を実現し、強風による破損リスクにも備えたカーポート。強靭さとそのデザイン性も魅力です。
ジーポートPro
・ジーポート Pro
https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/exterior/gport_pro
〇飛来物対策は窓への面格子や目隠しの設置も効果的
デザインも様々あり、目隠しや防犯対策にもなります。
・面格子や目隠しを含む、窓まわり商品はこちらからhttps://www.ykkap.co.jp/business/search/products/exterior/window
◆まとめ
今回は、住まいの台風や暴風雨への備えと万が一の対応、新築・リフォームの際ぜひ取り入れたい対策商品をご紹介しました。
快適な窓辺の暮らしにつながる、より良い住まいへのご提案にお役立てください。
次回もお楽しみに。
▼当連載の他の回はこちら▼
お客様に伝えておきたい! 見逃しがちな家づくりのギモン(窓・ドア関連)
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