◆HEAT20が新認証制度スタート
◆ノンエナジーベネフィットを軸に評価
(一社)20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会(HEAT20)が「住宅システム認証」をスタート。これまでなかったNEB(ノンエナジーベネフィット)を評価指標に含み、住宅一棟ごとの認証ではなく、システムを認証する。
省エネ基準をはじめ、これまでの省エネ関連の制度には、EB(省エネ)に対する基準はあったものの、NEBの指標はなかった。
今回の認証は、①住宅シナリオ、②部位の仕様と熱性能値、気密性・防露性に関わる仕様や施工方法、③外皮の遮熱性、住宅全般の通風に関する方針と具体的な措置、④暖冷房・換気に関する方針と設備の種類・配置の4項目で評価する。
G1~G3ごとに「住宅シナリオ」(EB・NEB)を設定した。
NEBは3%タイル値を用いた暖房期の最低体感温度で評価。例えば、東京を中心とする6地域(部分間歇暖房)でみると、G1は「概ね10℃を下回らない」、G2は「概ね13℃を下回らない」、G3は「概ね15℃を下回らない」という基準になる(表参照)。
EBは暖房負荷削減率が指標となる。「外皮水準地域補正ツール」(外皮性能地域補正プログラム)か「指定の熱負荷計算ソフトによる計算」(ホームズ君省エネ診断エキスパートもしくはAE-Sim/Heat)という2つのルートからどちらかを選択できる。
また、住宅シナリオでは「概ね」や「約」といった表現で大まかな数値が表示されている。これは、住宅シナリオが指標とする数値を厳格に満たすことを求めているわけではなく、数値前後でも可とする目安であるからだ。認証適合判断の際には、住宅シナリオに記載の数値を満たす場合を「適合」、住宅シナリオの範囲におさまっていると判断できる場合を「概ね適合」と称する。ただし、認証の審査及び審査結果においては「適合」と「概ね適合」の区別は行わない。
「住宅システム」とは「外皮の断熱・遮熱、開口部の日射取得、通風、暖冷房・換気などに関する設計・計画が適切に行われ、良好な温熱環境が実現される住宅のメカニズム」、つまり、「住宅システム認証」は壁や床の仕様、規格を認証するものだ。「省エネを実現するためには、これらが一体となって働くことが必要」との考えからで、システムごとの認証にすることで事業者もアピールしやすくなる。
認証を取得した事業者には「認証書」を発行するほか、HEAT20のホームページ上で申請者名、 システム名称、認証地域などを公表する予定。施主が希望すればシステムの仕様を公開する。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.06」
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