◆石綿事前調査の報告が義務化
◆小規模リフォームへの影響不可避
4月1日から石綿(アスベスト)の事前調査結果の報告が義務となった。施工業者は、事前調査を調査会社に依頼する意向が強く、費用負担から小規模リフォーム工事では、利益を出しづらくなることは必至だ。
改正石綿障害予防規則により、昨年4月から、施工業者は、建築物や工作物の解体・改修工事を行う際に、工事の規模、請負金額にかかわらず事前に法令に基づく石綿の使用の有無の事前調査を行うことが求められている。
そして2022年の4月からは施工業者(元請け事業者)は、一定規模以上の工事の事前調査の結果を、労働基準監督署に報告する義務が課せられる。さらに、環境省が所管する大気汚染防止法に基づき、地方公共団体にも報告を行う必要がある。
新たな制度スタートにあたり厚生労働省は「石綿総合情報ポータルサイト」を開設し、「事業者」、「作業従事者」、「一般の方」向けに、それぞれが知っておくべき情報を提供している。また、報告を電子申請で行える「石綿事前調査結果報告システム」の運用も開始した。パソコン、タブレット、スマートフォンから、行政機関の開庁日や開庁時間にかかわらず、いつでも報告が可能。1回の操作で、労働基準監督署と大気汚染防止法に基づく地方公共団体への報告を同時に行うことができる。
今回の報告制度では、請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事も対象となっており、特に小規模なリフォーム工事の分野への影響が危惧される。社内にアスベスト調査のできる人材がおらず、調査を内製化しない場合、調査会社に依頼する必要があるが、アスベスト定性分析にはコストがかかる。一検体あたり2万~4万円のコストがかかるとされ、小規模な工事では利益を出しにくくなるため、リフォーム事業者にはその対策が求められそうだ。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.07」
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