断熱改修などによる生活空間の温熱環境の改善が、居住者の健康にどのような影響を与えるか――。国土交通省は、この影響を明らかにするための調査事業を展開しており、先に3回目の中間報告をまとめた。これまで温熱環境の健康への影響について知見が積み重ねられてきたが、今回の調査でも新たな知見が得られつつある。得られつつある知見①室温が年間を通じて安定している住宅に暮らす人は、血圧の季節差が顕著に小さい起床時の居間平均気温が冬18度以上・夏26度未満と、それぞれ18度未満・26度以上の部屋と比べたところ、室温の差の少ないほうが、最高血圧、最低血圧ともに季節差が少なく安定していた。つまり、住宅内に温度差があると季節によって血圧が大きく変わるということである。得られつつある知見②部屋間の温度差、床近傍室温が血圧に有意に影響する例えば、居間と寝室の室温を両方とも18度に保つ場合に比べ、居間が18度、寝室が10度の場合、起床時の最高血圧がさらに2 mmHg高い。報告書では、「高血圧予防の観点から、居間のみを温めるなどの局所暖房は好ましくなく、住宅全体を適切に暖房する必要性が示唆された」としている。また、床付近の室温が血圧に大きく影響することも分かった。床上1mの室温が1度低下した場合よりも、床近傍の室温が1度低下した場合の方が、血圧への影響が大きかった(図1)。得られつつある知見③断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下する断熱改修前後の2回測定を行った居住者と、断熱改修をせずに2回測定を行った居住者の血圧変化量を分析した結果、断熱改修後に起床時の最高血圧が3.5mmHg、最低血圧が1.5mmHg低下した。これは「断熱改修による室温上昇がその一因である」とされている(図2)。得られつつある知 ..
この続きはA-PLUGに会員登録して
読むことができます!
A-PLUGは工務店様・リフォーム店様などの
建築関係プロユーザー対象の会員制サイトです。