木造住宅の耐震性はどうやったら確認できるでしょうか?
「耐震等級3を取得しているので1.5倍の地震が来ても倒壊しない」「制震ダンパーを採用しているので地震時の変形を95%低減できる」などいろんな耐震性のうたい文句がありますが、本当にそうでしょうか?
あたり前のことですが木造住宅の本当の耐震性能は地震が来ないとわかりません。しかしそれを直接確認できる手段があります。それが「振動台」です。以下の映像をみてください。
世界最大の振動台「E-ディフェンス」での実験です。
▼E-ディフェンスでの振動台実験の映像▼
この映像は元々兵庫県内に建っていた木造住宅2棟をE-ディフェンスに移築して、左の住宅は耐震補強して、右の住宅は無補強のまま揺らした実験です。
2棟は旧耐震の住宅でしたが、振動台で実大の木造住宅を揺らせば木造住宅の本来の耐震性能(=耐震補強の重要性)が一目でわかります。
1995年の阪神・淡路大震災以降、このような振動台実験が多数行われて、現在の耐震基準が出来上がっています。振動台実験は究極の耐震性能の検証法で、木造住宅の耐震性能を直接評価することができます。ただ、実大の振動台実験を行うためには莫大なコストや時間がかかります。
木造住宅の耐震シミュレーションソフト「wallstat(ウオールスタット)」はパソコンでの簡易な操作で木造住宅の三次元モデルを作成し、地震動を入力して振動台実験と同様に倒壊の有無や損傷の状況をアニメーションで確認することができます。
以下のURLから無料でダウンロードして誰でも使うことができますので、ぜひお試しください。
▼wallstatダウンロードはこちらから▼
http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/~nakagawa/
先ほどの振動台実験はwallstatによるモデル化で同様の地震時の挙動が再現できることが確認されています。
wallstatは著者が大学在学時に開発を始めた数値解析プログラムが元になっています。
オリジナルの解析手法により建物が完全に倒壊するまでの挙動を追跡できることが特徴です。理論の詳細や振動台実験による検証に興味がある読者の方は文献を参照してください。2010年12月にフリーソフトとして建築研究所のホームページで公開を開始し、現在もプログラムの改良・バージョンアップを続けています。
以下にソフトのダウンロード数の累積を示したが、2016年熊本地震で木造住宅の耐震性能が再び注目され、ソフトへの関心が高まったことなどもあり、公開開始から現在(2020年2月)まで、ソフトウェアのダウンロード数は36,000回以上に達しています。
本記事ではwallstatを用いた耐震シミュレーション動画を使って木造住宅の耐震性能をわかりやすく解説していきます。
毎回、耐震要素など焦点を絞った解説をおこなっていきます。例えば以下のようなテーマです。
○ 壁量はどれくらい必要か?
○ 接合部のN値計算が担保する耐震性能とは?
○ 水平構面の耐震性能の重要性
木造住宅の耐震シミュレーションソフト「wallstat(ウオールスタット)」は消費者への説明が難しい「耐震性能」を分かりやすくプレゼンできることから住宅会社、設計事務所、建材メーカー等で実務への導入が進んでいます。
興味のある方はぜひ、ダウンロードしてみてください。
>wallstatのダウンロードはこちら
▼この連載の他の回はこちら▼
動画でわかる!木造住宅の耐震性能