今回のコラムは、リミッターを外したイメージで、施工管理の実践内容についてお話を進めていきたいと思います。
皆様の会社では、現在どのくらいの新築住宅を供給されていますか?
地域事業として特化されている工務店様も多いなか、「年間100棟も建てていない…」という方にとっては今回のテーマは少々違和感があるかもしれませんが、決して年間に数百棟を超えるビルダー様向けの戦術としてお話を進める訳ではございません。
もし皆様の会社が、年間にこれくらいの規模の製造環境となった場合に、どのような管理手法で安定した品質の住宅を供給するのか?という疑似体験をしていただきたいという主旨が、今回のテーマに隠されています。
全国のビルダー経営者様からよく次のような相談を受けることがあります。
「1人の現場監督に対して、年間に何棟くらい担当させるのが良いのでしょうか?」
その際、私はすかさず次のような逆質問を投げかけています。
「社長!逆に工務課の役割として現場監督に何を管理させるのですか?具体的に教えていただけますでしょうか?」
するとほとんどの経営者様は、ここでどうも口を濁されるのです。
つまり工務課というチームに、そもそも何をする部門なのか?という定義すら決まっていない中で、単純に現場の割り当て配分について一足飛びに目が行ってしまいがちだということです。
当然工務課が担う役割の量や範囲に応じて配分する現場数も変わってくるわけで、まずは工務課のそもそもの役割について整理する必要があるのです。
下記の図表を見てみましょう!
製造を担う工務店事業では、大きく工事監理という役割の中に設計監理を一体化させた「皿監」と言われる領域が基本にあります。
そしてその中に施工管理を担う「竹管」と言われる管理範囲があり、こちらは協力業者がお客様と契約した内容を反映した設計図書通りに手を抜かずしっかり施工しているか?など現場での施工に関する「現場代理人」として機能しています。
そして以前のコラムでも数回にわたってお伝えしてきた施工管理の役割は、下記の図表の8つの管理をしっかり担うことであり、それが工務課の役割であるという体系を改めて振り返っておきましょう。
そして前段にあった現場監督に年間で担当させる適切な管理量についても、この役割を認識することで少しイメージが湧きやすくなってくるのではないでしょうか。
私の感覚であると、分譲住宅や注文住宅という差も多少あるとは思いますが、恐らく年間10棟~12棟くらいが適切ではないかと感じております。
常に3棟くらいを仕掛り物件として対応していくレベル感が、しっかりとした管理精度まで呼び込める許容だと感じます。
この感覚で単純に年間100棟となれば、計算上8人くらいの現場監督が必要となります。
しかしながら、年間100棟を超えるビルダー様において、それだけの十分な管理分配ができるほどの人材確保がなされているケースは少ないのが現実です。
また、現場監督のスキルの差によって管理量にも差があり、単純に均等案分される訳でなく、建築に対して見識の高い優秀な現場監督への配分比率は高く、そして新人を含めた若年層には浅く薄めるといった配分になっているのが実情です。
このような実態を打破するためにも、次のようなステップで解決していくと非常に効果的かつ有効的な仕組みづくりができるに違いありません。
それでは多棟数化する管理規模を体系化していく手法について順を追って解説していきましょう。
STEP➊ 「同じモノサシ」をつくる!
まず絶対に必要になるのが、「共通のモノサシ」です。
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