
当連載記事では、マンション管理士として豊富な経験と実績を持つコンサルタントが、管理組合が抱える様々な問題やお悩みを解決した事例、あるいは関係法令等の改正を含め管理組合にとって影響の大きい昨今の業界動向などをテーマに、『マンション管理に携わる皆様に役立つ情報』を提供してまいります。
2025年3月、建物の区分所有等に関する法律(以下 区分所有法)等の一部を改正する法案がついに閣議決定され、第217回国会に提出されました。本国会での成立を目指していますが、改正法の施行は、来春2026年4月1日の予定です。
区分所有法としては、23年ぶりの大幅な改正となりますが、特に押さえておきたい重要なポイントを解説しながらご紹介します。
◆法改正の背景と趣旨
マンションの総数は全国で700万戸を超え、わが国における重要な居住形態の1つとなっている一方で、建物と区分所有者の「2つの老い」が進行し、外壁の剝落等の危険や集会決議の困難化などの課題が顕在化しつつあります。
高経年マンションのストック増加と区分所有者の高齢化を背景に、社会経済活動の広域化・グローバル化も相まって、区分所有者の相続等を契機とするマンション内の所有者不明化や区分所有者の非居住化が進行しています。
一方、わが国では、地震や豪雨、竜巻などの災害が多発しており、大規模災害の発生リスクが高まっています。
今後、高経年マンションの更なる増加とともに、区分所有者の高齢化も進行することが見込まれるため、マンションの管理および再生の円滑化に向けた対策を講ずることが今回の改正の趣旨と言えます。
◆改正法の構成
改正法は、下記のとおり大きく3つのパートで構成されています。
1)マンションの管理の円滑化
2)マンションの再生の円滑化
3)地方公共団体の取り組みの充実
今回は、上記のうち「マンションの管理の円滑化」に絞って、改正点のポイントをご紹介します。
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