A-PLUGのご利用には会員登録が必要です
すでに会員の方はログインください

2021/01/15 09:05 - No.981


第1回 ブロガーちきりんさんが語る「日本の家はなにか変!寒くて暑い自宅をリノベ」


S100x100 55
「ちきりん」さんの自宅リノベ体験
「だん」 編集部

2021/01/15 09:05 - No.981

 
S1200x600 s1200x600  %e6%8a%95%e7%a8%bf%e7%94%bb%e5%83%8f%e7%ac%ac%ef%bc%91%e5%9b%9e %e3%81%a1%e3%81%8d%e3%82%8a%e3%82%93  %e5%86%8d%e4%bf%ae%e6%ad%a3

(こちらの連載は新建ハウジング発行「だん8号」からの転載です)

2018年に自宅マンションのフルリノベを行った社会派ブロガーのちきりんさん。
すべての窓に「内窓」を付けたところ「効果てきめんだった」といいます。今回は窓の断熱機能についてさらに学びたいというちきりんさんが、様々な疑問を解消するためYKK AP体感ショールームを訪問。その際にリノベ後の住み心地についてもお伺いしました。



──2年前にご自宅の断熱リノベを経験されたんですよね。


 購入後20年が経過したマンションをフルリノベしました。2018年10月に工事が完了し、これまで夏と冬を2回ずつ経験したので、リノベの効果、住み心地の変化についてもよく理解できました。

 といってもリノベ前は「断熱リノベ」について詳しかったわけではありません。ただ、海外での留学生活や旅行経験をとおして、日本よりはるかに寒い欧米の家が玄関を開けた瞬間から暖かいこと、氷点下になる真冬でも室内で厚着をする人などいないことは知っていました。

 だから屋内でフリースの上着やモコモコ毛布が必要な日本の住環境って、ちょっとおかしいのでは?と感じていたんです。

 ヨーロッパの寒い地域の窓を見ると、窓枠(サッシ)は木または樹脂素材で、アルミサッシなんて見たことがありません。ガラスも2枚になっていることがほとんど。日本の家は冬、窓のそばがすごく冷えるので、窓周りに日本と海外の家の違いがあるんじゃないかと疑っていたんです。 

 だから効果に確信はなかったけど、リノベの際「二重窓」と「壁の断熱」は最優先工事だとリノベ会社に伝えました。結果、計5カ所の窓すべてに内窓を付けて二重窓にし、壁内に発泡ウレタン35㎜を吹付ける「断熱リノベ」を行いました。



──ちきりんさんがリノベ時に指名したという「二重窓」ですが、一般的にはまだまだ知られていません。


 たしかに「二重窓」と「ペアガラス」を混同されている方もいらっしゃいますね。「二重窓」とは、既存の窓の室内側にもう1つ窓(内窓)を取り付けて断熱性や防音性を上げるもので、ガラスだけでなくサッシも新旧合わせて2つになります。一方、「ペアガラス」は、2枚のガラスの間に乾燥空気やガスを入れたもので、サッシの数は1つです。

 マンションの場合、規約により既存の窓を取り替えることは通常できません。なので断熱性の高い窓を付けるには既存の窓に加え、ふたつめの窓を付ける必要があるんです。




──二重窓の効果は感じますか。


驚くような効果がありました。まず冬は、エアコン一台で家じゅうが暖かくなります。部屋着は薄い素材のもので十分。モコモコした家着はすべて断捨離しました。

 しかも回遊型で引き戸のみの間取りにしたこともあって、以前は冬、凍えるほど寒かった玄関や洗面室もリビングのエアコンだけで暖かくなります。真冬でも家中の温度にまったく差がなくなったんです。

 あと、ひどかった窓の結露もなくなりました。以前は大きな窓に滴るほどの結露がつき、スクイージーで除去するのが毎朝の日課でした。ところが内窓をつけ、浴室暖房乾燥機の24時間換気・冬モードという機能を使い始めたら、結露がゼロになったんです。これには驚きました。

 また、以前は真夏、外出先から戻ったとき、玄関ドアを開けた瞬間に熱帯地域のような「モワッ」とした空気が室内から吹き出ていましたが、いまは冷房を切って出かけても、帰宅時に部屋の空気はまったく暖まっていません。これは内窓のガラスにLow -E タイプ※を採用した効果だと聞いています。留守中でも部屋が熱帯みたいにならないので、常温保存の食品や植物も傷まなくなりました。

▼ Low-Eガラスとは


 

 冷房も、真夏でも除湿(弱冷房)だけで快適で、電気使用量も減っています。しかも冬と同様、リビングのエアコンだけでトイレも洗面室も涼しい。もしここまでの効果があると知っていたら、リノベ時ではなく、新築マンションを購入した20年前に全ての窓に内窓を取り付けるリフォームだけでも先にお願いしただろうと思います。


──内窓の設置にかかったコストは納得していますか。


 5カ所の掃出し窓すべてに内窓を取り付け、かつ発泡ウレタン35㎜を建物外周にほどこす「断熱リノベ」におよそ70万円かかりました。省エネにつながるため、断熱リノベには国や自治体からの補助金や税金の軽減措置があります。それらを活用したところ30万円くらいの補助がいただけました。

 実質40万円で冬の寒さと結露、夏の暑さと無縁になり、電気代も安くなったのですからコスパはとてもよかったと思います。それに、真冬でも洗面室や廊下まで快適温度に保てるため、ヒートショック事故のリスクも軽減されました。

 効果を実感した今となっては、仮に補助金が出なかったとしても、十分に価値のある設備だと断言できます。


──いまリノベを検討中の人にアドバイスがあれば。


 一戸建てとマンションでは条件も違いますが、上下左右に他住居のあるマンションにお住まいなら、迷わず内窓を付けるべきとお勧めできます。

 リノべって、内装やキッチンなど目に見える部分ばかりに意識が向きがちですが、それらは後からでも変えやすい。フルリノベをするならまずは駆体の断熱や二重窓のような基本構造に予算や意識を優先しましょう。

 メイクアップで表面的に綺麗にしても、洗顔や保湿をおろそかにしたら肌は傷んでしまいます。家についても、外面を飾る前に基本性能を上げたほうがお得だと思いますよ。







ちきりん◉ 関西出身。証券会社就職後、米国の大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。2005年に開設したブログ「Chikirinの日記」は日本有数の読者数を誇り、社会派ブロガーとして著者も多数。2019年に自宅のリノベ経験をもとに「顧客目線」でまとめた「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと(ダイヤモンド社)」を発行。リノベを考える一般消費者のみならず、業界のプロにも愛読されている


「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」ダイヤモンド社
Amazonでの購入はこちら


(取材/だん編集部)

注記:YKK AP 体感ショールームは完全予約制となります。また現在、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から予約枠など一部制限を設けた運営とさせていただいております。

新建ハウジング発行「だん8号」はこちらからお求めいただけます。

▼ Amazonでの購入
「だん8号」

▼ まとめ買い購入
https://www.s-housing.jp/archives/171586





 
S100x100 55
「だん」 編集部
株式会社 新建新聞社

業務にあわせて効率UPができる
ツールをご提供!

イベント・セミナー全て見る>

Btn gotop