築26年目の顧問先マンション(31戸)で先日臨時総会が開催され、屋上防水の改修工事の実施が決議されました。
加硫ゴム系シート防水が施された屋上部では、昨年建物劣化診断を実施したところ、滞留水跡、保護塗料の剥離、防水層の膨れが見られるほか、ジョイント部でのシートの剥離や一部雨水浸入も見受けられました。
【シートの剥離現象】
【雨水が侵入している箇所】
また、その後の組合総会でも、大規模修繕工事のうち屋上防水の改修工事を優先して検討してほしいとの意見が挙がったことや、屋上防水工事の場合、仮設(足場)の設置が不要のため大規模修繕工事とは切り離して実施できることから、屋上防水の改修を先行して実施する方針で検討しました。
その後、複数の業者から相見積もりを取得のうえ比較検討した結果、10年保証が一般的とされる屋上防水工事において25年の長期保証が付帯する工法を採用することになったのです。
なぜ25年間の保証が可能なのか?
それは、使用している素材の特性が、既存工法(アスファルト、ウレタン、塩ビシートなど)とはまったく異なるからです。
この工法では、ドイツ最大の総合化学メーカー「BASF」が開発した「ポリフィン3018」という素材を使用しています。
「ポリフィン3018」の特徴は、以下の通りです。
(1)「可塑剤」を使用していない
既存の屋上防水工法の素材に大量に含まれている「可塑剤」は、経年とともに防水材の硬化や収縮を引き起こし、特に高温時にこの現象が起こりやすくなります。
しかし、「ポリフィン3018」の主成分である「特殊ポリオレフィン樹脂」には可塑剤が含まれていない為、経年に伴う弾性の低下が起こりません。
特に「ポリフィン3018」の場合、500%を超す大きな弾性で躯体の動きに合わせて伸縮するため、熱溶着で一体化されたジョイント部分も経年により剥離しません。
しかも、10年以上風雨に晒された古いシートでも溶着できるので、いつでも補修は可能です。
(2)「紫外線吸収剤」を使用している
紫外線には強い化学的作用があり、有機物の分子結合に悪影響をもたらして劣化させます。これを「光化学反応」と呼びます。
この光化学反応によって、樹脂の退色やクラックの発生、抗張力及び伸びの低下といった防水性を低下させる様々な現象を引き起こします。
そのため、光化学反応を防止する添加剤として開発された「紫外線吸収剤」を使用しています。
上記の性質によって、「ポリフィン3018」自体は長期にわたってメンテナンスが不要なのですが、狭い、あるいは複雑な形状の場所になると端部に既存工法によるシール材やウレタン防水を併用することになります。
そのため、こうした「ポリフィン3018」以外の箇所のメンテナンス(部分補修)が工事後10年目・20年目で必須となり、それぞれ70万円程度の修繕コストを見込む必要があります。
つまり、10年目と20年目のメンテナンスを実施することを条件に、最長25年の保証を延長するしくみになっているのです。
これに対して、アスファルトやウレタンを素材として使用する既存工法の場合には、改修の周期が10年〜15年とされており、改修のサイクルがかなり短くなります。そのうえ、紫外線や雨水による経年劣化を緩和するために、5~6年周期でトップコート(保護塗装)工事の実施を推奨しているため、「ポリフィン3018」に比べるとランニングコストはかなり高くなることがわかります。(下図参照)
さて、ここまでメリットばかりを強調してきましたので、留意点についても以下のとおり挙げておきます。
(1)シートを機械固定する際に、アンカーの下穴を開けるためにドリルの振動音が発生するのと、アンカーを固定させる打撃音が発生します。
(2)ドリルを使用するために必要な発電機による騒音が発生します。
(3)施工業者は、「ポリフィン3018」の販売代理店(カスター・ピーエヌ・ジャパン社)から施工店として認定を受けた業者に限定されます。
上記(3)にある、施工業者が限られる理由は、シート同士を「熱溶着」で完全に一体化させる技術力が求められるためで、カスター・ピーエヌ・ジャパン社の技術認定を受けた事業者のみが「POLYFIN3018」の施工を行えます。現在のところ、国内では10数社がその認定を受けているとのことです。
その中の1社であるサンエナジー(株)は、国内最大の施工実績による豊富な経験を持っていますので、もし屋上防水の改修工事を検討中であれば、下記にお問い合わせすることをお勧めします。
■問い合わせ先■
サンエナジー株式会社 東京支店
東京都町田市つくし野2丁目16番8
マンション事業部 担当:橘(たちばな)
TEL.042-850-6260