住宅デザインを語ろうとするのは、とても難しいものです。
連載4回目となる今回は、「住宅デザインの様式とは」というテーマでお送りします。
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◆アメリカの分譲住宅
工務店が売れるためのデザインとして、ゲニウス・ロキ、クラシック・デザイン、そして住まい文化を通じて、単語としてよく使ってきた言葉のひとつが「様式」です。
ここでは、学者になろうとしているのではないので、建築様式の深い研究をするつもりはありませんが、ひと通り、解かったつもりにはなっておきたいものです。
この様式を知るには、アメリカの事例が最適であると考えます。
個人的な経験談ですが、アメリカに住宅視察に行った時に、アメリカのビルダーによる住宅デザインを垣間見ることができました。
視察研修ですから、ホームビルダーズショーや著名住宅の名所と、アメリカの分譲住宅地を巡る旅行です。アメリカでは注文住宅よりも分譲住宅の方が主流です。
ただ、分譲地は観光バスに乗ったまま通り過ぎるだけです。
バスの車窓ガラスに手持ちのカメラのレンズをベタ付けにして、ひたすらシャッターを押し続けて撮影だけに集中しました。
そして、いろいろな住宅デザイン事例が収集できたと喜びました。
日本に帰ってから、この時撮った住宅を並べてみると、見ての通りです。
どれ1つとして、同じものは建っていません。
しかし、よく見ると、まったく同じプランニングです。
アメリカの住宅デザインでは、一部の限られた人にしか再販売できないようなデザインには価値がないのです。これは、これまで書いてきたことに通じる話です。
そして、どこかで見たことがあるようなデザインには、様式の要素も見られます。
そうです、アメリカ住宅には「様式」を必要としています。
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