◆住宅用断熱材市場は堅調に拡大へ
◆新築の高断熱化に加え断熱化リフォームも加速
矢野経済研究所は、今後、住宅の省エネ義務化に向けて新築住宅における高断熱化ニーズの高まりなどを受け、住宅用断熱材市場が拡 大していくと予測している。
同研究所の「住宅用断熱材市場に関する調査」によると、2020年度の市場はコロナ禍を背景に縮小した。数量ベースで前年度比8.7%減の34万3304t、金額ベースで同7.7%減の1659億5000万円と推計して いる。断熱素材の種類により前年度からの落ち込み幅は4~12%減と差はあるものの、減少理由はいずれの種類の断熱素材においても、コロナ禍を背景とした新設住宅着工数の減少に起因するとしている。
一方、2021年度の住宅用断熱材市場は、数量ベースでは前年度比2.1%増の35万600t、金額ベースでは同1.9%増の1691億3000万円増加に転じると見込んでいる。さらに、2022年度は1747億1000万円、2023年度は1815億円に達すると予測している。
これまで住宅用断熱材市場は、大手ハウスメーカーなどを中心とする住宅供給事業者による断熱等性能等級4の標準仕様化や、ZEHなどの住宅高断熱化ニーズの拡大などによって、断熱材の使用機会や住宅1戸あたりの使用量の増加に伴って拡大してきた。
また、現時点においては、各断熱材事業者ともリフォームの売上比率は低いが、カーボンニュートラル社会の実現に向け既築住宅の有 効活用が促進される中、断熱材リフォームの必要性が高まってきている。こうしたなかで断熱材事業者各社は、リフォーム向け製品の リリースや販路の拡大、リノベーションプロジェクトへの参画など、断熱リフォームへの取り組みを積極化させている。
同研究所では、長期的には新設住宅着工数の減少を背景に、各社の事業を拡大・維持するためには既築住宅向けへの取り組みは不可避 であることから、今後更に積極的な取り組みが加速するとみている。
さらに、今後、2025年度以降の新設住宅の省エネ基準適合義務化に向け、ハウスビルダーや地域工務店などでも高断熱化に向けた取り組みが増加することから、断熱材市場は拡大していくと見通した。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.02」
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