◆相続登記義務化の認知3割に上昇
検討内容は「まだわからない」が最多
中古戸建て買取再販事業を手掛けるカチタスの「空き家所有者に関する全国動向調査」第2回(2022年)によると、相続登記義務化を「知っている」と回答した空き家所有者は3割に上昇していることが分かった。
全国の空き家所有者を対象にインターネット調査を行い、有効回答数は1000人。
相続登記義務化とは、昨年4月に公布された改正不動産登記法により、相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内に所有権移転登記を行うことを義務付けるもの。正当な理由がないにも関わらず、申請を怠った場合には10万円以下の過料を求められる。公布から3年以内に施行される。
この相続登記義務化について「知っている」と回答した空き家所有者は31.2%と、前回より8.0ポイント上昇して認知は広がっているが、いまだ7割は「知らない」との回答。
義務化が2年後に迫るなか、空き家の相続について家族と対話している人は前回から19.1ポイント増え、52.4%となった。認知度の上昇に伴い、対策を検討する層も増えている。一方、対策として検討している内容について聞いてみると「まだわからない」が最多で4割近くを占めた。前回比からは6.0ポイント減っているものの、「家族で対策を考える」( 14.9%)と合わせると、空き家所有者の過半数が、具体的な対策が決まっていないことが分かる。
検討されている対策として最も多い「売却する」についてみてみると、売却先の選択肢の1位は「不動産仲介業者」(42.7%)で前回と変わらないが、2位の「不動産買取会社」を選ぶ人は前回から2倍の32.2%。不動産仲介業者は、買取業者よりも高額で売却できる可能性がある反面、広告宣伝や仲介手数料が必要で、売却までに時間がかかったり、購入者が見つからなければいつまでも売却できないといった難点がある。同調査では、不動産買取会社は自ら買主になり、買い取り後に自社でリフォームを施すため売却後のリスクがなく、荷物を残したままの状態でも買い取りを行える。そのような手離れの良さが評価されていると分析している。
空き家は傷みが早く、放置期間が長引くほど腐食が進み、有効活用ができない状態になる傾向がある。同社は、「空き家が有効活用できるうちに、早めに対策を検討する重要性を訴求していきたい」と述べている。