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2022/03/01 07:30 - No.1144


第1回 雰囲気でファンづくり:インスタ投稿術を磨く


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女心をつかむSNS発信
下田 典子

2022/03/01 07:30 - No.1144

 
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モノを買うとき、SNSで情報収集するのは当たり前の時代。家づくりの分野も、もちろん例外ではありません。弊社は、女性に特化したSNS投稿代行で地域工務店のサポートをしており、年間100件ほど行う住まい手へのインタビューで女性から様々な意見を聞き、SNS運営に生かしています。

家を建てるとき、男性は性能や数値から入る傾向が強く、女性は家の雰囲気や中身の決定権をより握っている印象です。だからこそSNSは、女性がより視覚的に「理解しやすく」「真似したくなる」投稿を意識していただきたい。女心を知り、自社のファンを増やしていきましょう。
当連載では、女心をつかむSNS発信のポイントを紹介していきます。

連載1回目となる今回は、雰囲気でファンをつくるInstagram投稿についてお話ししていきます。


◆女性の消費行動の中心はInstagram

女性がほしいものを探すときにチェックするSNS、そのトップはダントツ「Instagram」です。
弊社が20~40代女性のメルマガ会員に向けて昨年実施した「家づくりとSNS投稿にまつわるアンケート」では、“家づくりの参考にどんなSNSを活用しますか”との問いに、約7割の人がInstagramと答えています。つまり、Instagramを強化しないと生き残れません。視覚的に共感をつくり、自社のファンを増やしていくことが大切です。

では、SNSで広告を配信すればよいかというと、そうではありません。弊社が行ったInstagram情報収集調査においても、女性は明確な宣伝色の強い広告は避ける傾向が強いとの結果がでています。だからこそ、自社の世界観を表現しながら、女性に「こんな家に住みたい」と思わせる投稿を意識して、戦略的に運用してほしいのです。



家づくりとSNS投稿にまつわるアンケート/2021年12月実施
(提供:Seeders)


◆届けたい人をイメージして発信しているか

地域工務店の経営は、代表と設計者、現場監督、経理など、家族経営のように小規模で業務をまわしている会社が少なくありません。自社を知ってもらうことが大切とはいっても、年齢差ゆえに消費者や若い社員の気持ちさえも分からないという経営者が多いのも事実。
消費者心理を勉強し、建てる人の年齢に合う術がわかっているという工務店は売れているなと感じます。

だからこそ、やみくもに投稿するのでなく、計画を立ててやり続けることが大切です。SNSの投稿では、発信者のテンションと、建てたい人の捉え方には知らず知らずのうちにギャップが生まれています。見切り発車で投稿を始めたものの、フォロワーがつかず、SNSはわからないと悩んでしまい、運用そのものを止めてしまう……そうなってしまっては、自社の良さを知ってもらえる機会を失ってしまいます。何に気を配って運用すれば効果があがるのでしょうか。

コロナ禍をきっかけに生まれたこと、それは何気ない空き時間。消費者は家時間を持て余し、スマホを見る回数、時間ともに増えています。だからこそ、誰でも始められてお金のかからない便利なSNSについていけないと嘆いていても始まりません。「広報にかける時間がない!」そういった工務店は、PRのための材料を集めてアウトソーシングすることも検討してみてはいかがでしょうか。


◆リアルな暮らしに落としこむ投稿例

投稿するためには「材料」が必要。材料集めのポイントは、「雰囲気がよく」「暮らしを想像しやすい」、そして何より「毎日見ても飽きないもの」。

竣工写真はもちろん、建てた後のお施主様宅を訪問し、その都度スマホでちょっとした写真を撮らせてもらうなど、簡単なことからでいいのです。なぜなら、現実的に自分の暮らしに落とし込める情報が、必要とされているからです。


◆「毎日見ても飽きない」工夫

例)3県展開の地域工務店様/運営約2年半:
展示場物件の写真や、お施主様取材で撮影した写真を毎日1~数点投稿。届けたい層は若いお客様なので、ビジュアルとわかりやすさを大切にしています。毎日見ても飽きない工夫でファンは着実に増え、Instagramからのお問い合わせから成約になったお客様もいらっしゃいます。


写真にはそのシーンをイメージさせるキャッチコピー(最大15文字程度の短文)をのせています
(提供:Seeders)


◆「スキマ時間に見られる」を意識

例)栃木県内不動産・建築業様/運営約1年:
竣工写真を中心に、建築そのものでなくデスクや書斎など造作建具、無垢の床や質感、インテリア例などを毎日投稿。ストーリーズ投稿(24時間で消える投稿のこと)では見学会や不動産の情報を随時発信しています。雰囲気の良いものやちょっと真似したくなるシーンの投稿に加え、性能や心地よさをも感じさせるように意識。空き時間のタイミング投稿なども心がけています。

外壁は真っ黒、窓もない家 中は真っ白 もちろん窓もあります
(提供:Seeders)

家の快適さや素材感が写真から伝わってきます
(提供:Seeders)


◆SNS時代の建てたい人たちのリアル

弊社が実施した「家づくりのSNS投稿にまつわるアンケート」では、これから家づくりをする方やつい最近建てたという人まで、たくさんの女性の意見が聞かれました。こちらの結果をもとに、SNS発信の際のポイントをお伝えしていきます。
※実施月2021年12月、アンケート回答数70名(20~40代女性が回答)

 
アンケ―ト回答者のうち、7割以上の人が自身でもSNS投稿を行うユーザー
(提供:Seeders)


設問①:「どんなSNS投稿に共感しましたか」

実際に真似したくなるような紹介の仕方をしている投稿や、実用的な投稿が人気。閲覧者の個人の感覚ながら、「自分に合いそう」「自分の趣味に合った雰囲気」であることで惹きつけられる傾向にあります。


設問②:「一日のなかでSNSをよく見る時間帯は」

早朝やお昼時、深夜など、生活者のライフスタイルによってまちまちではあるが、比較的多いのが20時台。夕飯やお風呂などの育児や家事が比較的一段落したタイミングで、一息ついてスマホに向かうという人が多いようです。

 
家づくりとSNS投稿にまつわるアンケート/2021年12月実施
(提供:Seeders)


設問③:「お気に入りから外してしまおうかなと感じる投稿はありますか」

興味深い回答が目立ちました。投稿の際には気を付けたいポイントです。

回答例)
・豪華すぎて、予算が限られている自分にはあまり参考にならない。
・ただ自慢をしているような投稿で、趣味に合わず参考にならない
・お金をかけたブランドの家電など参考にならないただの自慢
・毎回同じ内容。詳しい内容は資料請求をしないとわからないような不親切なもの
・とっつきにくい
・趣味に合わない


設問④:「参考にする投稿は、企業発信のPR投稿、もしくは、実際におうちを建てたまたは検討中の一般の方の投稿、どちらのほうが多いですか」

圧倒的に「一般の方のほうを参考にする」という回答が多くなりました。お施主様でアンバサダーのようにPRを手伝ってくださるメンバーを募るのもいいかもしれません。

 
家づくりとSNS投稿にまつわるアンケート/2021年12月実施
(提供:Seeders)


回答例)
・一般の方のほうが変なしがらみがなさそうだし、直接的に参考になる内容だと感じるから
・予算や坪数など、自分のイメージと近い方が投稿しているため
・リアルな意見は、こだわりが感じられる
・その工務店やハウスメーカーがどういったことに重点をおいているか参考になる
・一般の方は主観に偏りがち、大きな買い物なので失敗したくない


設問⑤:「企業アカウントの印象と、企業のスタッフに実際に会ったときにギャップを感じたことはありますか?」

「ある」と答えたのは7割。いい意味でのギャップならよいのですが、発信者のトーンやテンションに左右されてしまうような投稿には気を付けたいですね。

 
家づくりとSNS投稿にまつわるアンケート/2021年12月実施
(提供:Seeders)


設問⑥:「企業アカウントに求める投稿はありますか」

その企業ならではの材料や得意な住宅スタイル、おすすめポイントなど、お客様目線で必要なことが発信されているかが、カギになりそうです。

回答例)
・住みやすく、なおかつきれいに維持するためにお客様に提案していること
・インテリアや庭など家に関するものだけど直接的に家そのものの投稿じゃないもの
・新しく導入や検討している床暖や壁材など、住宅設備を発信してほしい
・企業の特色がわかるもの。得意分野を発信してほしい
・その企業でおうちを建てるまでのプロセス


設問⑦:「家づくりで一番知りたいこと、知りたかったことは」

家づくりで叶えたいいろいろな要望は、予算との折り合いも大切です。ターゲットの所得層や年齢を考慮した発信を心がけましょう。

回答例)
価格、使いやすさ、暮らしやすさ、実際に建てた場合にかかる金額、費用、どれくらいのコストになるか(大きさや設備内容)、家づくりの段取りなど


◆まとめ

今回は、女性消費者に届けたい投稿のポイントについて紹介しました。

ポイント:
・女性が理解しやすい、保存や真似したくなる投稿を意識する
・建てたい人が「なんか違う……」ギャップを感じさせない統一感を
・自慢や不親切な投稿に女性は敏感、急激に心が離れていく
・飾った情報でなくリアルで暮らしに落とし込める情報を


▼当連載の他の回はこちら▼
女心をつかむSNS発信

 
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下田 典子
株式会社Seeders

株式会社Seeders 代表取締役 イベントの企画運営を経て2009年に広告代理店を創業。消費のカギを握る女性に響くデザインの企画提案、消費者マーケティングリサーチ、SNSコンサルティングを行う。また、住まい手へのインタビュー、SNS投稿代行、工務店の完成見学会や家具コーディネートまで、地域工務店PRに特化した企画を数多く手がける。暮らしを楽しむウェブサイト「TANOKURA」を運営し、おもに30代の女性に向けた情報発信を行う。

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