ゲニウス・ロキ「GENIUS LOCI」──この言葉に出会ったのは、大学の建築学科で学んだ時でした。個人的には、すでに40年が経とうとしています。解っているようで解っていない自分もいて、そして解りかけているのにももどかしさを感じます。元はラテン語で「土地の精霊」と訳されますが、「genius of location」と英語にして、建築物のロケーションとなる土地が有している固有の才質と直訳してみても、建築を目指す人には有用な概念であることが解ります。建物を設計しデザインするのには、土地の特質を知らなければできないことです。建築の仕事は、建てようとする土地の精霊の声を聴き、その地にふさわしい建物を設計することです。ですから、建築家は必ずその土地の上に立ち、じっくりと感性を澄まします。地形はもちろん、流れる風を感じ、太陽の動き眺め、その土地をとことん理解しなければ設計できません。この精霊への概念があるからでしょうか、建築家の好むファッションが、神父や牧師などの聖職者の服装に似ている気がします。典型的なのは、スタンドカラーの黒装束のファッションに身を包むと、誰でも建築家に見えてきます。さらに写真はモノクロで、少し斜に構えるとなおさらです。巫女の服装が共通しているように、精霊の声を聴く神職としての共通した演出があるように思えるのです。そしてゲニウス・ロキの声を聴き、その地にふさわしい入魂の作品を生み出して行きます。この瞬間は、彫刻家が原木や原石から作品の完成姿を見出し、一念に彫りすすめるのとも似ています。ただ、ファッションが違うだけで・・・機能・性能・デザイン一方、建築物に機能・性能に加えて、デザインという3つの要素があります。機能は建築物の目的であり、非住宅では目的が建物名となります。 ..
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