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2020/08/12 08:47 - No.847


第42回 能工見聞録 ──多能工の可能性を見聞


がんばれ!地域の工務店(工務店とエリアマーケティング)
石川 新治

2020/08/12 08:47 - No.847

 
猛暑、猛暑と呼ばれた昨年夏に、筆者が見聞きし、悶々と考えた、ある施工現場の見聞録=ドキュメンタリーです。住宅多能工の研究をされ、御自身でも施工ができる「先生」が手掛けた、とある施工現場を見て聞いたことを記します。この工事現場の中に、多能工の可能性を大いに考えさせられました。 この46㎡の貸家のリノベーションは、70歳を過ぎた「先生」がたった1人の施工で仕上げたものです。ただし認可の要る、電気と給排水の接続工事だけは外部専門職に発注しています。それ以外は、すべて1人の手によります。「多能工」といえば「器用な大工」と思っていては多能工を語れないと、常々先生からは教えていただいていました。多能工とは建築現場の絶対的な管理者であり、工事に利益を生みだす人です。それを、この現場で示してくれたのですが...完成した現場完成した部屋は、民泊として活用される部屋です。内装は床・壁・天井ともに、国産ヒノキを使っています。つまり、総ヒノキ造りの部屋ということです。6名までの宿泊ができるように、浴室・洗面・トイレ・キッチンなどの居住設備が装備されています。これらもすべてヒノキ造りです。さらには、収納式のベッドが6台、壁に組み込まれています。ベッドにはダンパーが付いていて、女性でも簡単に出し入れすることができます。このような家具まですべてヒノキ造りで作られている部屋は、まるで「家具のような部屋」です。先生はいいます。「私は大工ではない。そして大工ではできない。」と...材料の手配この現場に、施工段階から数度足を運び、先生のご教授をいただいていました。でも、現場には一 ..
 
石川 新治
一社)住まい文化研究会

明治大学工学部建築学科卒業。1981年ミサワホーム株式会社に入社。技術部設計から販社営業を経て、宣伝部マネージャーとして企画広報活動全般を経験。2007年、MISAWAinternational株式会社にて200年住宅「HABITA」を展開する。住宅の工法、技術、営業、マーケティング、商品化、デザイン、広報、住まい文化など、全般に精通。現在、一般社団法人住まい文化研究会代表理事として、機関紙「おうちのはなし」を発行し、全国の地域工務店の活動を支援している。主な著作に、「おうちのはなし」(経済界)、「地震に強い家づくりの教科書」(ダイアプレス)がある。

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