
クルマ離れで苦境に立たされるマンション管理組合が増えている
マンションの住戸数に対する駐車場設置率は、首都圏では2007年をピークにその後下落に転じ、2016年以降は4割台まで落ち込み、低下傾向に歯止めがかからない状況です。特に東京都区部では、2007年の56%をピークに、2016年以降は2割台にまで低下しています。(下図参照)
その背景には、若者のクルマ離れや高齢化の進行に伴いクルマを持つ人が減っていることや、公共交通機関の充実やカーシェアリングの普及等で「クルマを持たないライフスタイル」が広まったことがあるようです。
こうした影響を受け、昨今では駐車場の空き区画の増加で苦境に立つ既存マンションが増えています。マンション内の駐車場については、管理費とは別に利用者から使用料金を徴収し、管理組合の重要な収益源として維持管理や修繕の費用に充てているからです。
また、マンションの場合、敷地面積の制約から立体式の駐車設備を導入するのが一般的です。
そのため、空き区画の増加で単に収入が減少するだけでなく、設備の保守点検費用や修繕費用は負担し続けなくてはならないという問題ものしかかってきます。
機械駐車場の撤去・平面化に踏み切った築21年目のマンション
都内にある筆者の顧問先のマンションでは、今年の1月に機械式駐車設備を撤去し、平面化する工事を実施しました。
このマンションには、平置きの駐車場のほかにも機械式駐車場が9台分(3段ピット式・3区画)ありましたが、そのうち7台が長らく空き区画となっていました。
そのため、駐車場収入が満車時と比べると年間2百万円強も減少している状況にあり、管理組合の財政をかなり圧迫していました。
このままでは管理費の値上げも余儀なくされることも懸念されましたが、筆者が管理コストの見直しのコンサルティングに着手し、割高な管理委託費について管理会社との減額交渉に成功したため、当面の財政問題についてはリスクを解消できました。
ただ、遊休化してしまった駐車設備については、今後も保守点検費のほか、各種部品や電気制御装置、パレットの入替えといった多額の修繕費の負担を強いられます。
そのため、この管理組合では、執行機関である理事会を中心にこの空き区画対策について様々な検討を行なっていました。
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