
当連載記事では、マンション管理士として豊富な経験と実績を持つコンサルタントが、管理組合が抱える様々な問題やお悩みを解決した事例、あるいは関係法令等の改正を含め管理組合にとって影響の大きい昨今の業界動向などをテーマに、『マンション管理に携わる皆様に役立つ情報』を提供してまいります。
都内にある顧問先のマンション(築26年目・39戸)では、専有部の給湯管に生じたピンホールから漏水が発生したことをきっかけに、管理組合が事故の予防対策を検討し始め、マンション全体で給湯管の更新工事のキャンペーンを展開しました。
前回(第40回)に引き続き、修繕工事の検討から実施に至るまでの管理組合の取組みを紹介します。
◆給湯管延命のための「更生工事」の検討
配管の修繕を検討する場合、配管全体を新規に交換する「更新工事」と、既存の配管の延命を図る「更生工事」の2つの選択肢があります。
更生工事とは、配管内をクリーニングしてから専用の塗料や樹脂素材を流し込んだり、吹き付け、内張りするなどして内壁に新しい被膜を形成する施工方法です。
「更新工事」は工事費が高額になること、また専有部の工事のため修繕積立金からの支出はできず、区分所有者が別途負担する必要があることから、まずは比較的廉価な更生工事の検討を優先させることとしました。
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