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今回はメディアレポート 2024年8月号に掲載された「省エネ基準の適合義務の施行迫る」の記事をご紹介します。
省エネ基準の適合義務の施行迫る
2025年4月1日の施行が決定
政府は、改正建築物省エネ法の一部について、施行期日を2025年4月1日とする政令を24年4月16日に閣議決定し、同19日に交付した。この改正により、原則すべての住宅・非住宅を新築、増改築する際に、省エネ基準への適合が義務付けられる。
現行制度では、300㎡以上の新築非住宅のみ省エネ基準の適合が義務付けられている。300㎡以上の新築住宅は所管行政庁への省エネ計画の届け出義務、300㎡未満の新築住宅、非住宅は建築士による説明義務がそれぞれ課されている。改正法の施行により、適用除外以外の建築物すべてが省エネ基準の適合対象となり、いよいよ一般的な住宅も省エネ基準に適合しなければ建築することができなくなる。
また、今回の政令では、省エネ基準の適合を求めない建築規模を10㎡以下とすることも決まった。「居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないもの」にあたる車庫、畜舎、観覧場などの建築物、歴史的建造物、文化財、応急仮設建築物、仮設興行場なども除外される。改正法では、増改築する場合、建物全体に省エネ基準適合を求める現行制度とは異なり、増築部分だけが適合対象となる。
また、建築基準法の改正による、いわゆる「4号特例」の縮小も25年4月1日からスタートする。
これまで建築基準法では、500㎡以下の木造2階建て住宅や平屋などは「4号建築物」と位置付けられ、建築士が設計を行う際に、構造関係規定などの審査が省略されていた。しかし、近年では太陽光パネルの設置など住宅の高性能化に伴って建物が重量化し、その対応が求められていた。改正後は200㎡の平屋住宅を除き、木造住宅すべてで建築確認申請の際に基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、軸組図などの構造関係規定の図書や省エネ関連の図書を提出することが求められる。つまり、多くの木造戸建て住宅で構造計算が必須となるわけだ。こうした住宅は新たに「新2号建築物」と規定され、年間30万戸規模にのぼるとみられている。
また、木造住宅について、2級建築士が設計できる簡易構造計算の範囲を3階建て16m以下に拡大する見直しも同時に施行する。
メディアレポート 2024年8月号
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