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2024/09/06 18:00 - No.1427


パッシブハウスで次世代に向けた差別化(注目!!わが社の家づくり)


メディアレポート|注目!!わが社の家づくり
メディアレポート 編集部

2024/09/06 18:00 - No.1427

 


YKK AP株式会社が発行する建築業界情報誌「メディアレポート」の「注目!!わが社の家づくり」では、全国のビルダー様の取組みや家づくりに対する想いを紹介しています。
今回はメディアレポート 2024年9月号に掲載されたコットンハウス様の記事をご紹介します。


コットンハウス

(静岡県浜松市)

パッシブハウスで次世代に向けた差別化
ノウハウを水平展開、快適で暮らしやすい住まいを

会社設立から一貫して高気密・高断熱住宅を手掛けてきた浜松市のコットンハウス。その基盤を生かし、パッシブハウスという次の大きなステップを踏み出した。


コットンハウスは2008年の創立で、当初から高気密・高断熱住宅に取り組み、性能を高めることで省エネや健康など建物自体の本来の価値をお客様に提供してきました。

当初は、高気密・高断熱住宅という言葉自体が出始めていた頃で、私たちは外張り断熱工法による一般的な住宅よりも高性能な住宅を手掛けていました。10年ほど前、高気密・高断熱住宅が広がろうとするなか、差別化を目的に外張り断熱に加え吹付け断熱による「ダブル断熱仕様」とし、窓も樹脂窓「APW 330」を発売早々に採用、ガラスも複層ガラスからトリプルガラスに変更しました。

現在、注文住宅を年間34〜35棟程度手掛けています。これまで標準仕様、半規格型の「SCUBO」という2つの商品を扱ってきましたが、今年1月に高気密・高断熱の一歩も二歩も先を行くパッシブハウスのモデルハウスを建設、現在、3つの商品で事業を展開しています。その性能は、外皮熱貫流率(UA値)で、パッシブハウスが0.26W/㎡・k、標準仕様と「SCUBO」が約0.4W/㎡・k程度です。

勉強会、コンペなど会社一丸で取り組む

そのためパッシブハウスをやると決めた時から環境工学的な勉強会を社内で開催し、下地ができた段階でモデルハウスの計画に入り、社内でプランコンペを行いました。パッシブハウスはこれまで手掛けてきた住宅とは全然違います。今後、コットンハウスは、そんなパッシブハウスを手掛けていくんだ、その意識を社員全員に持ってほしくて勉強会を行い、コンペを行ったのです。

住宅の高気密・高断熱化が進むなか、差別化を狙いにパッシブハウスに取り組み出したのは3年ほど前からです。コットンハウスが次に何ができるのかを考えた時、創業時から積み上げてきた省エネ住宅の知識やノウハウを土台として、一歩先、二歩先にあるパッシブハウスを形にできるのではないかと考えたのです。

高気密・高断熱の構造や仕様は、あくまでパッシブ住宅の一要素でしかありません。そこには設備関係とのバランスが必要ですし、太陽光や風の取得など周辺環境をこれまで以上に厳しく考える必要があります。これらをしっかりと根拠づけるため、PHPP(Passive HousePlanning Package=ドイツのパッシブハウス研究所がリリースした建築物のエネルギー収支計算ツール)による計算が求められます。さらに、実際の建築物が計算数値をクリアしなければパッシブハウスとは認められませんから、これまでの高気密・高断熱住宅よりもハードルが大きく上がります。



県西部エリアで初の認定パッシブハウス

今年1月、西ヶ崎モデルハウス[浜松パッシブハウス]をオープンしました。HEAT20のG3レベルの断熱性を持ち、自然の力を利用して最小限のエネルギーで快適に暮らすことができ、コンペを行ったプランをベースに快適さと暮らしやすさを両立させたデザインです。

凸凹した形よりも正方形に近い方が熱損失の面で有利ですし、熱の出入りを踏まえて開口部の向きや形を考える必要があり、それらを考慮しつつ外観デザインを考えました。また、内部も部屋を細かく仕切るのではなく大きな空間としてプランニングし、上下の熱環境、空気の移動なども検討しました。ダクト式の一種換気を用いていますが、そのダクトの配置や送風する場所を考え、冷暖房を一種換気の間に挟み、そこで温め、冷やした空気を各居室に送る設計となっています。

坪単価は約100万円と、これまでの坪約80万円から20万円程度高い住宅で、高所得者向けのモデルとなっています。それだけに、外装や内装、設備機器もワンランク上のモノを採用しました。

このモデルハウスの大きな目的の1つが、パッシブハウスを知っていただくことです。さまざな有識者に来ていただいてイベントを複数回開催したほか、ホームページやInstagramなどで情報発信しています。特に強く訴えているのは「パッシブハウスとは何ぞや」という点です。一般的に言われているパッシブデザインやパッシブ的な考え方を導入した住宅ではなく、しっかりとしたロジックに基づいた計算、根拠による性能を担保していることが大きな違いで、このモデルハウスは、静岡県西部で初となるパッシブハウスジャパンによる認定パッシブ住宅であることを強く打ち出しています。

[浜松パッシブハウス]では、温度・湿度など温熱環境、電気代の測定を行い、その考察を続けています。比較できるように既存のモデルハウス、また、お客様のご厚意でお引き渡し済みの住宅でも同様の測定を行っています。今後、パッシブハウスを提供するにあたって、お客様に何を提供できるか、それが明確でなければ説得力に欠けてしまいますから、実際に記録を取って、こうでしたよ、だからこうなんですよ、と根拠づけたツールを作成する予定です。これまで冬期のデータを分析しましたが、想定通りの良い数値が出ています。


快適性、暮らしやすさ
高い資産価値を提案

パッシブハウスは、まず年間2棟を目標に、徐々に増やしていければいいと考えています。パッシブハウスは、コットンハウスのフラッグシップの位置づけであり、主力商品としてどんどん拡大していくことは難しいでしょう。それよりも、今回、パッシブハウスで取り入れたノウハウ、仕様や考え方、設計手法を、標準仕様の注文住宅や「S CUBO」に横展開していきたいと考えています。パッシブハウスの要素を取り入れて高い省エネルギー性を実現させるなど、全体的な底上げにつなげていきたいのです。

コットンハウスは、年間の受注件数を40棟に、そして50棟にと計画しています。パッシブハウスは、そのきっかけであり、分岐点になり得るものだと思っています。商品だけでなく、社員のレベルアップにもつながり、会社全体として強くなれるのではないかと考えているのです。

パッシブハウスは、単なる高気密・高断熱住宅ではなく、快適性や暮らしやすさをあわせ持ちます。10年、20 年で陳腐化するような性能ではなく、高い資産価値を永く維持できる住まいなのです。コットンハウスは、こうした資産価値のある住宅をお客様に提案していきたいと考えています。

※本記事は、YKK APより株式会社コットンハウス様に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。




 メディアレポート 2024年9月号

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