2021年4月14日、国土交通省が、「マンション標準管理規約」改正案のパブリックコメントの募集(5月20日締切)を開始しました。今夏頃には新たな標準規約が施行される見通しです。
今回の改正の目的は、主に「コロナ禍のもとでの感染防止対応」と言えるでしょう。
新たな標準管理規約(案)の主な改正点
国交省によって示された標準管理規約の主な改正点は以下の通りです。
(1)ITを活用した総会ならびに理事会の開催を可能にする。
(2)マンション内で感染症の感染拡大のおそれが高いと認められた場合、共用施設の使用停止等を使用細則で定めることを可能にする。
(3)感染症の感染拡大の防止等への対応として、やむを得ない場合は総会の開催延期も可能なことをコメント。
(4)専用使用部分でない共用部分に物品を置くのは原則禁止だが、宅配ボックスが無い場合等、例外的に「置き配」を認める際のルールを使用細則で定めることが考えられる旨をコメント。
(5)各区分所有者が行う専有部の配管の更新工事の足並みが揃わず、マンション全体の劣化や管理不全につながる懸念があるため、規約の定めで専有部配管との一体更新を可能にすることや、その場合の修繕積立金会計からの拠出に関する取扱いについてコメント。
(6)総会の議決事項として、新たに管理計画認定の申請(改正適正化法第5条の3第1項にもとづく)および要除却認定の申請(マンションの建替え等の円滑化に関する法律第102条第1項にもとづく)を追加。
上記6つの改正点のうち「コロナ関連」が4つを占めていますが、その中で最も注目すべきは(1)の「ITを活用した総会・理事会の開催」を可能にすることでしょう。
これは、昨年来のコロナ禍のもと、定期総会や理事会の開催を見合わせる管理組合も相次いだこともあり、WEB会議システム等の活用による開催も許容するというものです。
たしかに、総会や理事会をオンラインで開催できれば、いわゆる「三密対策」に資するうえ、転勤等の事情で遠隔地に居住する人も参加しやすくなるなど利便性も高まるため、区分所有者の出席率の向上につながるといったメリットも期待できます。
ただその一方で、利便性の向上とは裏腹に、第三者による区分所有者へのなりすましや、通信障害などの不具合が発生するといったリスクも考えられます。
今回の改正案は、マンション管理業協会の主宰のもと、業界関係者や学識経験者等で構成される「ITを活用した総会の在り方検討会」(以下「検討会」という)における審議結果をふまえて作成されました。
以下では、検討会で議論された、オンライン総会(理事会)の開催に際して留意すべきポイントについてご紹介します。
検討会の報告資料によると、ITを活用した総会の開催方法として、以下3つのパターンに分類しています。
一つ目は、現状どおり集会による開催に加え、オンラインによる傍聴参加も認める方法(リアル総会)、二つ目は会場出席だけでなく、オンラインによる出席および議決権行使を認める方法(リアル+オンライン併用型総会)、そして議長を含めて全員がオンラインのみで参加する方法(オンライン総会)の3つです。
(出典:「ITを活用した総会の在り方検討会 報告書・ガイドラインの概要」)
1. オンライン総会の開催方法について
開催日時、会議の目的に加えて開催方法を記載した招集通知を行い、オンライン出席予定者に対して、当日の出席方法(URLやログインID・PW等)を案内します。
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