◆はじめに
当連載記事では、管理組合を対象とする「コンサルティング」や「顧問業務」などを生業にしている "マンション管理士としての経験とノウハウ" をもとに、昨今の業界の動向などをテーマに取り上げ、『マンション管理に携わる皆様に役立つ情報』を提供していきたいと思います。
老朽化マンションの増加や居住者の高齢化等をふまえたマンション管理の円滑化及び再生の円滑化を図るとともに、大規模な災害により重大な被害を受けたマンションの再生の円滑化を図る等の観点から、2022年9月、法制審議会において法務大臣から区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)の見直しについて諮問がなされ、区分所有法制部会(部会長 佐久間 毅氏)が設置されました。
本部会は2022年10月から調査審議を開始しましたが、本年6月、第9回会議にて「区分所有法制の改正に関する中間試案」が取りまとめられ、今後本部会にてさらに検討を深めて成案を得るべく、法務省にてパブリックコメントを募集しています。(意見募集期間:2023年7月3日~9月3日)
今回は、区分所有法制部会が取り纏めた中間試案の内容を一部ご案内します。
◆法改正の趣旨
高経年マンションのストック増加と区分所有者の高齢化を背景に、社会経済活動の広域化・グローバル化も相まって、区分所有者の相続等を契機とするマンション内の所有者不明化や区分所有者の非居住化が進行しています。
一方、わが国では、地震や豪雨、竜巻などの災害が多発しており、大規模災害の発生リスクが高まっています。
今後、高経年のマンションが更に急増するとともに、区分所有者の高齢化も進行することが見込まれるため、マンションの管理および再生の円滑化に向けた対策を講ずることが喫緊の課題であり、今回の法改正の主な趣旨と言えます。
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