アフターコロナの今日では、在宅勤務が増え、家で過ごす時間が長くなっている中、住まいの快適性や省エネに関心が高まっています。
建物の断熱性能は、窓の高断熱化を中心に、近年急激に向上してきました。そして、さらなる健康・快適な住環境を実現するため、現在注目されているのが全館空調です。日本ではあまりポピュラーでなかった全館空調ですが、最近になって様々な方式が続々登場しています。
そこで、本連載では6回にわけて、全館空調の良さを上手に生かした、健康・快適で省エネな暖冷房計画を考えてみます。
連載第1回目、2回目の記事では「全館空調のメリットと注意点」、第3回目では「全館空調の方式と特徴」についてご紹介してきました。
連載4回目となる今回は、全館空調を語るうえで押さえておきたい「空気と熱の基礎知識」をテーマにお送りします。
◎全館空調の主な方式(当記事の目次)
1. はじめに
2. 空気が送れる熱量を計算しよう
3. 暖冷房に必要な顕熱は2000W以下が目安
4. 換気の風量<空調の風量 を忘れずに
5. 暖かい空気は軽い、冷たい空気は重い
6. 冷房吹出温度は室温マイナス10℃が下限 |風量確保を確実に
7. 送風ファンが圧力を供給し、ダクトが圧力を消費する
8. ダクト径半分で圧力損失は32倍 ダクト径には余裕をもって!
9. 吸込の空気は速度の減衰が早く指向性がない 遠くまで届く吹出の空気が空調設計の基本
◆はじめに
前回は、様々な方式の全館空調をご紹介しました。それぞれの方式ごとに長所短所があるので、単純にどれが良いということは言えません。全館空調の方式を適切に選択し、冷房・暖房がしっかり効いて快適な室内環境を実現できるように設計するには、熱と空気に関する基本的な知識が欠かせません。
今回は、特に大事なポイントに絞って、熱と空気の基本を学びましょう。
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