◆居間の室温が冬の快眠を左右
◆寒さは睡眠障害を助長し、健康への悪影響も懸念
東京ガス都市生活研究所が「冬に睡眠の質を高めるために環境を整えている部屋」に関する調査を行い、「都市生活レター」において「意外!? 睡眠の質に影響するのは、実はこの部屋だった。」で報告した。国土交通省など最新の知見を踏まえて、”冬の良質な睡眠“について解説している。
この調査によると「冬に睡眠の質を高めるために環境を整えている部屋は?」との問いに、圧倒的に多かったのは「寝室」で82%と8割超え。居間21%、脱衣室や廊下は5%未満と、寝室に気を遣うことはあっても、それ以外の環境にまではこだわる人が少ないことが浮き彫りになった。また、「良い睡眠のために気をつけていること」は、「暖かい布団を使う」、「湯たんぽを使う」、「足を冷やさないようにする」、「お風呂に入る」といった回答が多く、体を冷やさないようにしている人が多いようだ。
しかし、同研究所は、さまざまなデータを引用し、こうした対応だけではないことを解説している。
国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業調査「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査第4回」により、入眠にかかる時間(入眠潜時)が長い人ほど、就寝前に過ごす居間の室温が低い――つまり、就寝中の寝室温度よりも就寝前の居間の温度に大きく影響を受けることが分かっている。
「睡眠」といっても、眠りの浅さ、目覚めの悪さ、日中の眠気などさまざまな睡眠に関する悩みがあるが、「寝つきにくさ」が気になる人は寝室よりも居間を暖かくすることがポイントになる。
先の国土交通省の調査によると、就寝前の居間の温度が低くなることで、睡眠障害のある人にとっては睡眠障害の改善を0.7倍にとどめ治りにくくさせる一方、もともと睡眠障害のない人は睡眠障害の発生率を1.4倍も助長するという。
その重要なポイントとなる居間の温度は何度程度が良いのだろうか。2014年に厚生労働省が出した睡眠指針では、寝室の温度を13~29℃とするように推奨している。また、英国保健省が循環器系疾患、呼吸器系疾患などの健康障害へ対策として定めた指針では、居室温度は18℃以上にすることが推奨されている。
室温が18℃未満の場合血圧上昇や循環器系疾患の恐れがあり、16℃未満になると呼吸器系疾患に対する抵抗力低下が懸念される。
寝室も居間も18℃以上を保つことが睡眠にも健康にもよいと言えそうだ。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2021.05」
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