デザイン・快適性・省エネ性能と同時に「構造安全性」はとても重要です。
全国で「構造塾」を展開する株式会社 M's構造設計の佐藤実氏より分かりやすく木構造の大切さと重要ポイントを解説していただきます。
今回は「性能向上により壁量見直しに至る背景」です。(前回記事はこちら)
◆省エネ性能が向上により壁量基準が強化される背景
長期優良住宅の認定基準が見直され、省エネ性能向上に伴い壁量基準が強化されます。そこに至る背景の裏話をします。
省エネに関する認定基準の引き上げが検討されていた当初、耐震性能の強化については置き去りにされていたと聞きます。木造住宅にとって重要な省エネ性能と耐震性能は、それぞれ分断しているのではないでしょうか。省エネ性能専門の研究者、省エネ性能が得意な設計者は、省エネ性能向上により固定荷重が増加し、建物に作用する地震力が増すことを意外と知りません。同様に、耐震性能専門の研究者、構造設計を行う設計者は、省エネ性能向上により、固定荷重が増加している事自体を知りません。このような現状があります。
そんな中、2020年3月に私が他誌にて記した「性能を高めた家は重い」という記事がきっかけとなり、耐震性能強化へと繋がったようです。そこで、その記事を一部紹介します。
省エネや耐火の仕様で家は重くなりがちです。太陽光発電パネルを設置すると家の偏心も大きくなりやすい。家づくりでは実際の重さを把握したうえで、十分な耐力壁を設ける必要があります。最近の家は重くなる傾向にあることをご存知でしょうか。
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