デザイン・快適性・省エネ性能と同時に「構造安全性」はとても重要です。
全国で「構造塾」を展開する株式会社 M's構造設計の佐藤実氏より分かりやすく木構造の大切さと重要ポイントを解説していただきます。
今回は「長期優良住宅認定基準等の見直しについて」です。(前回記事はこちら)
◆長期優良住宅認定基準、どこが見直されるの?
四号特例見直しの解説で、既に長期優良住宅の内容にも踏み込みましたが、具体的には令和4年(2022年)10月1日より長期優良住宅の認定基準が見直されます。
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、「省エネ性能の上位等級創設(住宅性能表示)」、「省エネ対策の強化」が行われています。そこで、現行基準では「断熱等性能」は住宅性能表示の「等級4」、一次エネルギー消費量性能に関しては「認定基準外」でした。この部分は、長期優良住宅の要件として、高い断熱性や一次エネルギー消費量性能など、従来より高い省エネ性能を求める必要があることから、省エネ基準を「ZEH相当の水準」とし、住宅性能表示制度の「断熱性能等級5」及び、「一次エネルギー消費量等級6」と変更します。
出典:国土交通省「長期優良住宅法改正概要説明」(https://www.hyoukakyoukai.or.jp/chouki/pdf/houkaisei-outline3.pdf)
省エネに関する認定基準の引き上げに伴い、耐震性能も強化されます。省エネ基準を「ZEH相当の水準」とする場合、断熱材が厚くなる、高性能サッシや太陽光パネルの採用など、建物の固定荷重が増加します。結果、地震力も増加するため、壁量の見直しが行われます。
◆長期優良住宅の壁量見直しとは
国土交通省の資料にあるように、長期優良住宅は耐震等級2または3が耐震に関する認定基準です。計算方法は品確法の耐震等級計算と許容応力度計算のどちらでも可能です。現在、品確法の耐震等級計算について見直しが進められています。
出典:国土交通省「長期優良住宅法改正概要説明」(https://www.hyoukakyoukai.or.jp/chouki/pdf/houkaisei-outline3.pdf)
出典:国土交通省「長期優良住宅法改正概要説明」(https://www.hyoukakyoukai.or.jp/chouki/pdf/houkaisei-outline3.pdf)
この壁量計算基準見直し案は、令和4年10月1日施行予定の「長期優良住宅認定基準等の見直し」に対応義務化とはなっていません。当面は、現行の計算方法にて長期優良住宅の認定基準を耐震等級2→耐震等級3に置き換えることで対応可能としています。壁量計算基準見直し案を見ると、左側の【現行の必要壁量】の耐震等級3と【ZEHの重量化を反映した必要壁量(案)】の耐震等級2がほぼ近い数値となっています。当面、現行の計算方法による耐震等級3で対応可能としている根拠はここにあります。
◆地域型グリーン化事業の対応の解読は正しかった
前回、地域型住宅グリーン化事業の耐震に関する対応を読み解きましたが、その読み解きが正しかったことがわかりました。
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