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2019/07/23 11:04 - No.511


第11回「小屋裏換気」工事のポイント ✕ 「最初からハードルを上げないこと」


現場管理の方法は変わり始めている ~課題解決のヒントはここにあり~
小村 直克

2019/07/23 11:04 - No.511

 

 

NEXT STAGEでは、住宅品質の安定と向上を目指して取り組みを実践し、成果を出しているビルダーを「優良ビルダー」と呼んでいます。優良ビルダーは「法的基準をただ守ればいい」「協力業者任せにする」というような現場管理をしていません。ビルダーと協力業者がともに品質向上をさせるという共通の目的意識を持ち、取り組みを行っています。当コラムでは、そんな優良ビルダーが実践している事例を紹介します。

「小屋裏換気」工事のポイント

●小屋裏換気
住宅会社さんに訪問して、「屋根断熱の場合も小屋裏換気必要なのですか?」と質問されることがあります。「天井断熱を採用する場合は必要で、屋根断熱を採用する場合は不要なのですが屋根通気をとる必要が有りますよ」と説明しているのですが、小屋裏換気について理解されていない方もいらっしゃるようです。

小屋裏換気の主な目的は、小屋裏空間の湿気を外気に放出し構造材を乾燥させ小屋組材の耐久性を保つことです。ここで設計面において品質管理のポイントとなるのが小屋裏換気の入口と出口を明確にし、空気の流れを考えた配置とすることです。一般的に空気の出入口となる換気孔を「軒裏」や「妻壁」、「屋根の棟部」に設ける換気方法がありますが、「温度差」と「風圧力」で発生する小屋裏換気の仕組を理解した上で、建物の工法や形状に合った換気方法を選定し、湿気や熱が滞留しないように配置計画をする必要があります。

●軒裏における雨吹込みの配慮
使用する軒裏換気部材の種類によって、雨の吹込みリスクは変わります。軒天有孔ボードは、軒裏換気部材の中でも雨の吹込みリスクが高いと言われています。又、壁に吹き付けた風が起こす気流の影響を受け、換気部材の取り付け位置によっても小屋裏へ雨が吹込むリスクが変わります。軒裏への取り付け位置が壁側の場合はリスクが高く、中間部、先端部に向けてリスクは低くなる傾向にあります。軒裏換気を採用する際は、住宅の立地条件に応じて「透湿防水シートの張り上げ」「軒裏換気部材の選定」「軒裏換気部材の取り付け位置」等の雨の吹き込み対策を総合的に考え、構造躯体の劣化防止に配慮した設計が望ましいです。

●小屋組材の耐久性が損なわれる他の要因
小屋裏の換気が計画通りに機能していても、他の工種に問題があると、湿気の排出が適切に行われない恐れがあります。最上階の天井の防湿工事は特に重要で、室内の湿気を小屋裏へ流入させないように「防湿層を連続させる」ことを意識した設計・施工が大切です。優良ビルダーでは、「なぜダメなのか」その理由をしっかり説明した上で施工方法の指導を行い、施工要因の不備をなくす取組みを行っています。

●バルコニー床下空間の湿気対策
バルコニーの床下空間の湿気対策措置はとられていますか?室内から床下空間内が湿気が流入し結露をおこすリスクがあり、構造材の耐久性を劣化させる恐れがあります。優良ビルダーでは小屋裏空間と同じようにバルコニーの床下空間の湿気に対しても配慮した設計・施工を行っています。その湿気対策の例をいくつかご紹介します。

 
小村 直克
株式会社 NEXT STAGE

1968年2月生まれ。1990年大阪学院大学経済学部卒業後、小堀住研(株)(現:(株)ヤマダホームズ)、 そして建材商社を経て、2006年に(株)NEXT STAGEを創業。 民間でいち早く第三者検査事業をスタートさせ関西を中心に普及させてきたが、本質的な技術者の人財化や 品質向上への仕組みにギャップを感じ、2013年には、業界初の施工品質監査ナレッジマネジメント体系を業界に提唱し、 「監査」という独自の手法を用いたPDCAサービスを展開する。 現在では全国8拠点、800社を超えるビルダーがサービスを導入し、2020年には建築技術に特化した 学習環境プラットフォーム事業を本格化させ、2021年8月より、これまで蓄積してきたテクニカルビックデータを駆使し、 誰もが参入できなかったデータ&アナリティクス事業を実現させ、これからの住宅価値を変えるエッセンシャルな建設DXを 推進する。 

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