◆新築戸建て住宅の6割に太陽光発電
◆2030の実現を目指しZEH支援などが加速
国は、2030年までに、新築住宅に対して太陽光発電システムを新築住宅の約6割に設置するという目標を打ち出した。
2030年度の温室効果ガス排出量46%削減(2013年度比)という目標に向け、大きなテーマとなっているのが再生可能エネルギーの拡大だ。先に資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会が「エネルギー基本計画」の素案を公表したが、このなかで「2030年度に再生可能エネルギーの割合を現在の2倍以上となる36~38%に引き上げ、主電源化する」ことが盛り込まれた。取り組みとしては、地域と共生する形での適地確保を進め、太陽光、陸上風力、洋上風力などに取り組むほか、建物の壁面、強度の弱い屋根にも設置可能な次世代太陽電池の研究開発など技術開発にも力を入れていくとしている。
河野太郎規制改革相のもとに設けた「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」において資源エネルギー庁がこの目標を報告、さらに、その実現に向けた具体施策の一つとして、2030年までに新築注文戸建て住宅への太陽光発電の設置率を約6割に高める目標の設定を検討するとした。太陽光発電システムの搭載率を、大手ハウスメーカーの注文住宅で太陽光発電システムの搭載率を、大手ハウス9割、中小工務店と建売戸建て住宅で5割程度まで引き上げることで、目標達成を目指すとした。
また、ZEHの9割程度で太陽光発電を設置していることから、新築戸建て住宅のZEH率を高めることで太陽光発電の設置率も高めたい考えだ。
ただし、実現に向けては、都市部の狭小住宅など太陽光発電システムを載せにくい住宅もあることから、国土交通省や環境省と連携し、ZEHの導入支援やFIT制度による導入支援の強化、需要家や建築事業者への情報提供などを進めることで目標達成を目指す方針だ。
こうした検討も踏まえ、国土交通省、経済産業省、環境省による「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」の最終とりまとめでは、2030年度までに新築戸建て住宅の6割で太陽光発電システムの導入を目指す目標を掲げた。目標実現に向けた取り組みとして、ZEHなどの普及拡大に向けた支援、消費者に向けた情報提供の強化などを掲げている。また、先に公表された各省の2022年度予算概算要求においてもZEHの強化支援などが盛り込まれており、太陽光発電システムの "新築戸建て6割" に向けた動きが加速しようとしている。
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