◆2022年度の住宅施策は安全・安心、脱炭素が柱
◆災害対策、省エネ推進、空き家対策など新たな施策も続々
国土交通省の2022年度の施策がまとまった。
住宅業界に大きく関わる住宅局関連では、①住まい・くらしの安全確保、②住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現、③誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保、④既存ストックの有効活用と流通市場の形成、⑤住宅・建築分野のDX・生産性向上の推進―が柱。
「住まいくらしの安全確保」では、住宅・建築物ストックの最低限の安全性確保を総合的かつ効率的に促進するために住宅・建築物の耐震性などの向上に資する取り組みを支援する「住宅・建築物耐震改修事業」を拡充、耐震改修とあわせて省エネ改修を実施する場合、補助対象工事費などに省エネ改修工事費等を追加。また、ハザードエリアの立地抑制・移転促進も進める。新築住宅に係るすべての補助事業について、支援対象地域から災害リスクの高い区域を原則除外し、サービス付き高齢者向け住宅の新築への支援については「浸水被害防止区域」も支援対象から除外する。
「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」では、住宅・建築物の省エネ化を推進するため、省エネ性能の高い住宅・建築物の整備や、既存住宅の改修などを総合的に支援する。例えば、新規事業としては、ライフサイクル全体を通じてCO2排出量をマイナスとする「LCCM住宅整備推進事業」、主要構造部に木材を積極的に使用する非住宅建築物・中高層住宅の整備を支援する「優良木造建築物等整備推進事業」、既存住宅の省エネ改修を支援する「住宅エコリフォーム推進事業」などがある。このほか、「地域型住宅グリーン化事業」や「長期優良住宅化リフォーム推進事業」も引き続き実施される。
また、融資制度については、「フラット35S」において新たに「ZEH」が対象となるとともに、省エネルギー性に関する基準が引き上げられた。さらに住宅金融支援機構において「住宅省エネ改修融資」が新たに創設、既存住宅の省エネリフォームについて低利融資を実施する。
「誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保」では、セーフティネット登録住宅やサービス付き高齢者向け住宅の制度を拡充、ともに改修工事の補助対象に「交流スペースを設置」を追加した。また、「子育て支援型共同住宅推進事業」は継続して実施され、事故や防犯対策など子どもの安全・安心に資する新築・改修に対して支援を行う。融資では「フラット35地域連携型(子育て支援)」を拡充し、金利引き下げを当初5年間から当初10年間とする。
「既存ストックの有効活用と流通市場の形成」では、空き家対策が大きなテーマだ。「空き家対策総合支援事業」を拡充、空き家の除却について「各種災害により被害が生じたまたは被害が見込まれる空き家住宅等の緊急的または予防的な除却」が対象となるとともに、「空き家を除却した後の土地の整備」も事業として行われる。また、空き家・不良住宅の除却、空き家の活用などに取り組む地方公共団体を支援する「空き家再生等推進事業」、民間事業者が空き家の発生防止などの抜本的対策に取り組むモデル的な取り組みなどを支援する「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」も拡充し、実施される。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.04」
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