◆当連載についてと前編の振り返り北スイス在住の環境ジャーナリストの滝川薫です。コロナ禍前には、スイスやオーストリアの持続可能な建築や省エネ建築をテーマとした専門視察に頻繁に携わっておりました。海外視察が不可能な状況が続く中、昨5月25日に本誌×YKK AP社の主催により、ウェビナー「エコ先導国スイスの持続可能建築最新セミナー」が開催され、そこで省エネ政策や持続可能な住宅地の傾向、木造建築事情についてお話させて頂きました。本連載ではこのウェビナーの内容の一部を、三回に分けて紹介してゆきます。当連載2回目の記事は、前回に引き続き、気候中立政策における建築の省エネルギー化 -スイスの現状と課題-の後編をお送りします。◎前回の記事はこちらhttps://aplug.ykkap.co.jp/communities/119/contents/1066プラスエネルギー率687%のゲルツェンゼー村の家の気持ち良い室内。スイスのパッシブハウスとエコ建築の任意基準であるミネルギー・P・エコ認証を受けている。設計事務所はHalle58。◆省エネ改修が今後も最大の課題現在、最も大きな課題となっているのは、省エネ改修のスピード倍増という実情です。スイスでは、住宅の75%が1990年以前に建てられており、その省エネ改修が進まなければ気候・エネルギー政策の目標を達成することは困難だと言われています。その中で、省エネ改修については、長年に渡り助成制度が実施されてきました。暖房用オイルとガスにCO2税が課されています。オイル一リットルあたり27円程度ですが、年1300億円の収入になります。そして、その一部が建物の断熱改修や熱源交換への助成財源として用いられてきました。断熱改修では、壁・屋根であればU値0.2以下 ..
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