◆増えるパワーカップル 価値観変容で増える共働き
◆旺盛な消費意欲に市場へのインパクトも
"パワーカップル世帯"が増加、住宅市場でも存在感が増していきそうだ。
ニッセイ基礎研究所がまとめたレポート「パワーカップル世帯の動向」では、夫婦ともに年収700万円以上の世帯を「パワーカップル」と定義してその動向をまとめている。
「令和元年国民生活差基礎調査」によると、総世帯5179万世帯の年間平均所得は552万円だ。一方、パワーカップルを含む共働き世帯に限ってみると、2020年の世帯数は1621万世帯で総世帯の約3割、このなかで夫婦ともに年収700万円以上のパワーカップル世帯は34万世帯で、総世帯の0.62%、共働き世帯の2.1%を占めている。
一般的に夫の収入が高いほど妻の就業率が下がる傾向があるが、夫の年収によらず妻の労働力率は全体的に上昇傾向にあり、夫が高収入の世帯でも妻の多くが働くようになっている。例えば、年収1500万円以上世帯では2014年から2020年にかけて妻の労働力率は48.8%から61.5%と12.7ポイントアップ、20万世帯から32万世帯に増えている。
同レポートでは、こうしたパワーカップル増加の背景として、仕事と家庭の両立環境の整備が進んだことで、出産後も正社員で働くことで収入を大幅に減らさずにキャリアを積む女性が増え、若い世代でパワーカップルが増えていることを指摘している。また、共働きがスタンダードとなるなかで、仕事と家庭のどちらかではなく、仕事も結婚も子どもを持つことも望む女性が増えるといった価値観の変容の影響もあるようだ。
テレワークが浸透し、働き方が変わるなか、特に子どもがいる共働き世帯では、仕事と家庭の両立に十分な時間があるとは言えず、時短を叶える需要が根強いとみる。
「パワーカップルは全体としてはごく僅かではあるものの、消費意欲は旺盛とみられ、消費市場のインパクトは無視できない」としており、今後も一部の消費市場を活性化させ、その規模はじわりと拡大していくとみている。
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