◆子ども誕生世帯、20歳代、専業主婦に高い移住意向
子育て環境や広い住まいを求める
ニッセイ基礎研究所がレポート「地方・郊外移住を希望するのはどんな人か」を発表。テレワークや3密回避の人だけではなく、子どもの誕生や成長を機に、子育て環境や広い住まいを求めて移住を希望していることが分かった。レポートは、同研究所が今年3月に行ったインターネット調査「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の結果を用い、移住希望者の属性や、コロナ禍以降、どのようなライフスタイルやビジネススタイルの変化、また意識の変化があった人たちなのかについて探っている。
これによると、3月の調査で「在宅勤務を利用したり、転職したりして、郊外や地方に居住したい」との設問への回答は、「そう思う」5.4%、「ややそう思う」15・9%で、合計すると全体の約2割に及んだ。特に、20歳代の「そう思う」(13・6%)、30歳代の「ややそう思う」( 20 ・9%)は全体を5ポイント以上も上回り、若い人ほど移住希望が強い。
ライフステージ別では、第一子誕生者の「そう思う」、小学校入学の「ややそう思う」が全体を5ポイント以上、上回っている。子どもの誕生や成長を機に、のびのびした子育て環境や広い住まいを求めて、移住を希望していることがうかがえる。一方で、「第一子高校入学」と「第一子大学入学」の回答者も、「ややそう思う」が全体を上回った。レポートでは、子どもの独立が間近になってきて、夫婦だけでより快適な住環境、あるいは、より小さくて費用が安い住宅を求めている可能性があるとの見解が示されている。
職業別では、専業主婦・主夫の「そう思う」と「ややそう思う」、会社員(事務系)の「ややそう思う」が全体を5ポイント以上、上回っていた。別の設問「コロナ前と比べて在宅勤務が増えたか」の回答結果を職業別に見ると、会社員(事務系)では、「増えた」と「やや増えた」の合計が35・7%と、全体平均(18・9%)を大きく上回っており、在宅勤務のしやすさが移住希望に影響していると考えられる。
居住エリア別では、一極集中の東京圏在住者の動向に注目が集まりがちだが、各地方でも、その都市部から郊外部へと移住したい人がいることが分かった。
内閣府の調査では、東京圏在住者で地方移住に対して「関心がある」人の合計は、コロナ禍前の19年12月には、25・1%だったが、コロナ禍に入った20年5月には30%を超え、その後、21年10月でも34%を維持。この傾向は20歳代で多い。