◆2022年度の住宅設備市場は1.85兆円
環境意識の高まりなどで創エネ市場拡大に期待
矢野経済研究所は、①水まわり設備(キッチン、システムバス、温水洗浄便座、衛生機器、洗面化粧台)、②水まわり関連設備(食器洗い乾燥機、給湯器、コンロ、浴室暖房乾燥機)、③創エネ関連設備(蓄電システム、太陽光発電、家庭用燃料電池)の3分野を対象に「住宅設備機器市場に関する調査」を実施。2021年度の主要住宅設備機器の市場規模(①、②、③の合計)は、前年度比2.9%増の1兆8,038億5,000万円と推計した。
前年度から伸長した主な理由として、前年度のコロナ禍に伴う需要急減からの反動増や新築住宅市場の回復などを挙げている。22年度の主要住宅設備機器の市場規模は、1兆8,551億円を予測。コロナ禍前の2019年度の水準に向けて回復していくものの、新築需要の減少などを背景にその回復スピードは緩やかになるものとしている。さらに、24年度の主要住宅設備機器の市場規模は、21年度比3.4%増の1兆8,660億円になるものと予測しており、このうち、水まわり関連は同8.1%増、創エネ関連は同6.2%増と堅調な伸びをみせるとの予測だ。
水まわり関連設備機器市場については、比較基点の21年度において、給湯機器の部品不足の影響で出荷数量が大きく落ち込んだ特殊要因がある一方、脱炭素社会に向けて、2025年に省エネ基準への適合が義務化されることを背景に、高効率給湯器の採用の増加が見込まれることや、エコキュートについては買い替え需要などもあり、底は固いとみている。
また、創エネ関連設備機器市場について、資源エネルギー庁の「住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応」によると、家庭用蓄電システムが当面は30万件/年程度のFIT契約満了世帯が出現し、余剰電力の売電から自家消費に取り込むことで市場拡大を見込む。加えて創エネ関連設備機器全般では、環境面に対する意識の高まりに伴う需要増も期待され、市場拡大を後押しするのではないかとしている。
一方、懸念材料として回復しつつあるレジャー需要がリフォーム市場拡大の足かせになることや、原材料価格の上昇による設備価格の高騰が挙げられ、値上げにより需要が冷え込む可能性も考えられる。