フィンランドのヘルシンキ在住の大村裕子です。フィンランドの建築について住宅を中心に、建築士の視点でレポートしていきます。ユーゲント・シュティールとはユーゲント・シュティールとはアールヌーボーともよばれる建築のスタイルの1つです。アールヌーボー建築は19世紀末から20世紀の初めにヨーロッパの各地で建てられたスタイルですが、フィンランドのユーゲント・シュティールは、フィンランドらしさを表現しているのが特徴です。フィンランドでは1895年から1915年頃にユーゲント・シュティール建築が多く建てられました。フィンランドは1917年にロシアから独立したのですが、その直前の時期にあたります。フィンランドの歴史を簡単に振り返ると、約100年前の1917年に独立しました。それまでの約100年間はロシアの支配下にあり、その前の約650年間はスウェーデンに統治されていました。そのため街中の建物にはスウェーデンの影響がある建物や、ロシアの影響がある建物が残っています。その中でこのユーゲントスティールは全く違った建物として、目を引きます。実際の例をご紹介します。エイラ病院。1905年完成。フィンランドに住んでまだ数か月のころに、偶然来たのがこの病院でした。階段ホールなどの装飾が美しく、あまりにも病院らしくなくて驚きました。後日この建物はユーゲント・シュティールを代表する建築家の一人、ラルス・ソンクによる設計と知りました。個人住宅、ヴィラ・ヨハンナ。1906年完成。曲線状の壁、尖った塔はユーゲント・シュティール建築の特徴です。元はヘルシンキの電話協会の本社。今はオフィスビル。1907年完成。ラルス・ソンク設計。アーチ状の天井の玄関ホールが印象的です。手すりにも細かなデザインが施されています。ユーゲントス ..
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