◆国交省が住宅脱炭素化の方針をとりまとめ
◆再エネ導入の説明義務化、省エネ基準は仕様の適合確認
国土交通省が、住宅脱炭素化などに関して今後の方針を取りまとめた。社会資本整備審議会建築分科会、建築環境部会、建築基準制度部会の合同会議を開催して具体策などについて検討したもので、省エネルギー基準への適合義務化の時期、ストックの省エネルギー化の促進や再生可能エネルギーの導入促進策などが明らかになった。
省エネ基準の適合義務化については、義務化の時期と対象を「2025年度以降に新築される原則すべての建物」とした。ただし、適用対象外となる建築物として「居室を有しない建築物」、「文化財」、「仮設建築物」、「10㎡以下の建築物」が示された。
この適合義務化に関する負担軽減策も示された。
義務化範囲が一般の住宅にも拡大することから、適合確認の申請側(設計者)や審査側(所管行政庁、登録建築物エネルギー消費性能判定機関、建築主事、指定確認検査機関)の負担増加が懸念されることに対応するもの。具体的には、省エネ計算によらず仕様基準で省エネ基準への適合確認ができる場合は、省エネ適判を求めず、建築主事や指定確認検査機関が建築確認・検査において省エネ基準への適合を確認する。
一方、ストックの増改築については、省エネ基準への適合義務化の範囲を増改築部分のみとした。また、省エネ設備や断熱材の施工といった省エネ改修で建築物の高さ、建ぺい率、容積率が限度を超える場合でも、特定行政庁の判断で許可する制度を導入する。
住宅への太陽光発電などの再生可能エネルギー利用設備の導入についても具体策をまとめた。自治体が建築士から建築主に対して再生可能エネ利用設備の効果などの説明義務を課すことができる制度を創設する。また、増改築時と同様に、再生可能エネ利用設備の設置により、建築物の高さなどが限度を超えた場合でも、特定行政庁の判断で許可する制度を導入する。
脱炭素化の大きな柱の一つとなる木材の利用拡大について、その促進策も盛り込んだ。現行では高さが13m、軒高9mを超えると高度な構造計算と構造計算適合判定の手続きが求められるが、高さ16m以下かつ階数3以下までであれば簡易な構造計算(許容応力度計算)で可能とする。
また、中大規模木造建築物の普及を促進するため、延床面積3000㎡超の木造建築物で、新たに消火の円滑化措置や小割の防火区画により同時延焼範囲が制限できる構造なども建築できるように防火規定の合理化を図る。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2022.05」
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