インスペクターが考える民法改正【その6】です(前回記事はこちら)最近、お問い合わせいただくことに、契約不適合に直結する「重大指摘」は何か?というものがあります。改正法から時間が経過しておらず、判例もまだありませんので、これといったものはありませんが、基本的なことを含めて解説をしておきます。民法改正云々ではなく、住宅会社がきちんとしておかないとトラブル(訴訟発展)が重症化してしまうものは「構造」と「雨漏れ」関連だと思います。これは、住宅瑕疵保険履行法があるから「何かあっても保険でなんとかなる」という風に捉えている方も少なからず存在しますが、重大不具合は契約不適合に直結し、言い訳が効きませんので細心の注意を払うべきです。日々の検査でよくある指摘の一例から、実際に自分たちの現場は大丈夫か?立ち止まって確認する機会にしてください。基礎配筋検査では、何と言っても「かぶり厚さ」の指摘が目立ちます。写真は某ハウスメーカーのものです。特に、耐圧版の下側かぶり厚が不足していると、後から修補することは事実的に困難ですから、契約不適合=建て替えないし解約に進んでしまう可能性が極めて高いですね。かぶり厚不足の主な原因は「捨てコン未施工での転圧不足」と「サイコロ寸法違い」が挙げられます。手間や材料代を鑑み、捨てコンを施工しない標準仕様の現場(それ自体は間違いではないです)では、砕石転圧不足による寸法不足が多く見受けられます。また、サイコロ寸法は70mm~90mmのサイズを使用すればいいのですが、60mmを使用している現場が非常に多いです。これでは60mmをキッチリ確保するのは難しいことは想像するに容易いでしょう。次に指摘が多いのは、鉄筋空き寸法不足です。鉄筋コンクリートの基礎では、引っ張りに強い鉄筋と圧 ..
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1998年
日本大学理工学部海洋建築工学科卒業
大手ハウスメーカー入社 工事課配属
後輩指導とともに約350棟の施工管理に携わる。その後、スタッフ部門にて施工革新による生産向上業務、作業標準マニュアルの策定を経て退社。
2007年
設計事務所・工務店設立
自身にて注文住宅の設計、施工を請負意外に、各ハウスメーカーの軽量鉄骨ALC工法を始め、重量鉄骨、戸建て分譲の木造SE構法木造2*4工法、他木造軸組み工法の住宅現場を施工管理。
10年で管理した現場は新築、リフォームを合わせて、およそ500棟に及び多数の職人指導の実績経験がある。
2013年
住まいと土地の総合相談センター、副代表に就任
インスペクター以外にもコンストラクションマネージメント業務にも従事。
現在は、建築トラブルを抱えるクライアント複数の相談に乗る。