今回のテーマは、「現場でしかできない仕事」に焦点を当て、現場業務の生産性向上と品質確保の2つを両立させる思考を学んでいただこうと思います。
現場でしかできない仕事とは、つまり「現場ですべき仕事」とも置き換えることができます。現在では多くのビルダー様が現場業務に対する課題を最優先課題として捉えているだけに、特に現場責任者の方々にとっては有益な学びになると思います。
第一回目のコラムでも解説いたしましたが、「施工管理の8つ役割」というミッションをここで思い出してみてください。
施工管理の基本は、前回で学んだ工事監理という枠組みの中で、お客様と請負契約でお約束した様々な仕様や性能、そして品質というものを確実に製造するために、設計図書という媒体でもって各種協力業者の作業内容を確認しながら具現化していくために行う現場での管理業務を指します。
この役割の中で、現場でしかできない管理業務を分解してみましょう!
まず上段列の4つは、着工してから現場でどうにかする業務でないことが言葉の上でも理解できるはずです。例えば、原価管理というものは着工前の計画段階において、お客様とのプラン詳細の打ち合わせで随時、材料および手間を精度高く拾い上げ、変更作業と連動して修正され続けていくものです。また受発注管理や納材管理の一部についても、その最終原価が確定した段階で工程に合わせて搬入計画と連動させ、これも事前に段取りしていくものです。
逆に、この作業が着工してから動くようなことがあったり、想定していなかったことが工事を進めているタイミングで頻繁に発生するようでは、それは現場作業での課題ではなく、着工前の準備作業やフローの課題であるということを、ここでしっかり仕分けし押さえておきましょう。
次に下段列の4つ(特に右側3つが主)は、現場でしかできない管理業務であることが理解できると思います。品質管理を現場も見ずに職人任せで行おうとか、近隣の環境状況を感覚で適当に判断してみたり、現場での職人の安全管理状況を人柄で憶測的に判断してみたり、このような観察行為は非常に危険であることがわかると思います。
つまりこの3つの役割に関してだけは、1棟の住宅を完成させるために、「何を目的に、どのような手段で、どのタイミングに、どんな内容を評価しに行くのか?」という管理計画をもとに、確実に観察する必要であるということなのです。
「施工管理の生産性向上!」と言われる本当のポイントは、施工管理アプリを導入する事でも、現場監督のスキルを直接的に上げることでもありません。あくまでも、それは手段に過ぎないということを理解しておきましょう。どんなスタッフでも一律に観察できるような指針、基準、目的、タイミング、内容などを、ビルダー単位で明確な仕組みにしておくことが本質的な生産性向上の原理原則です。
ツールはあくまでも明確な仕組みが存在していることが条件で、手段として導入しなければ一切効果は表れないと言っても過言ではないでしょう。
このような分解から、「現場でやるべき3つの管理」が明確になりましたので、次はこの3つの仕事をどのように進めていくことが重要なのかをお伝えしていきます。
まず、毛色の違う3つのチェックリストを見てください。
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