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2021/11/18 08:27 - No.957


第4回 四季を感じる高性能住宅と庭空間に再生


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戸建性能向上リノベーション ~事例から学ぶ設計ノウハウ
A-PLUG 事務局

2021/11/18 08:27 - No.957

 
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◆はじめに

当連載は「戸建性能向上リノベーション ~事例から学ぶ設計ノウハウ」と題し、実際の施工事例をもとに、専門知識・技術の習得を図ることを目的とした記事となります。

今回は、長野県小諸市にあった木造2階建て住宅を、現代的な間取りの高性能住宅にリノベーションした事例をご紹介します。


◆施工事例(本文)
ごく一般的な木造2 階建て住宅を現代的な間取りの高性能住宅にリノベーション。外部を積極的に取り込んだ再販住宅だ。

事業主=リューケンハイム
設計施工=リューケンハイム


長野の自然を望む敷地に建つ、築45年の木造住宅のリノベーション事例。リューケンハイムとYKK AP モデルハウスとして計画された。


既存のキッチンの様子。北側に配置されている(左)既存の和室。キッチンと隣接している(右)


既存の外観。高台に建つ(左)既存の洗面脱衣室と浴室。浴室は在来工法でつくられている(右)

間取りはリノベーションのターゲットである一次取得層のニーズに合わせた。

まずは玄関の位置を変更してスペースを広げ、シューズクロークをしっかり確保した。さらに1階に広いLDK を設け、リビング内階段を設置した。2階を増築して6畳間をひと部屋増やした。このほかベランダを交換し、ウッドデッキを新設するなど半外部スペースを充実させた。

デッキにつながる庭も大きく刷新した。既存の樹木を生かしつつ、新たに植栽を施した。アプローチの階段から建物を見上げたときに、建物と植栽が一体となり、周囲の景観に溶け込むように計画した。

リノベーションに際して、解体は内側から行った。


内側は床解体後の2階の様子。この後、2階の小屋組は架け替えて片流れ屋根に変更(左)
内側は床や壁、天井を剥がしてスケルトン状態とした(右)

基礎は新しい間取りに合わせて増設した。軸組の状態は比較的良好だったが、浴室の柱や土台などは腐食が進んでいたので交換した。内側から既存のモルタル外壁の下地の状態を見て、漏水があった箇所については、外側のモルタルも撤去して補修した。


解体時に漏水が確認された窓まわりなどは外壁を落として下地からつくり直す(左)
新たにつくり直した2階の様子(中)2階の既存の小屋組をいったん撤去。さらに2階を増築(右)

耐力壁に関しては、外周壁は断熱施工を施した後、室内側に構造用面材のダイライトを張った。間仕切り部分については、たすき掛けの筋かいを用いた。その上で柱頭柱脚金物を追加して耐震性能を高めた。

さらに1階リビングや2階居室の大きな開口部には耐震フレーム「フレームⅡ」を採用し、耐震性を確保しながら大きな開口部を備えた開放的な空間を実現した。


フレームⅡとAPW430を組み合わせた大開口(左)
2階の大きな開口部にフレームⅡを設置しているところ(右)


フレームⅡの柱脚部(①)と柱頭部(②)。柱を挟んで2つのフレームを設置。
耐震補強として外周壁には面材耐力壁(③)、室内には筋かいを使用(④)

これらの措置により、上部構造評点は既存の0・84 から1・91 に向上した。これは耐震等級3に相当する。

◆20代をターゲットに買取再販

断熱改修に際しては、窓に樹脂窓APW430スライディング窓APW511 を併用した。

前述したように「フレームⅡ」を採用したことで大開口が確保でき、日射取得を最大化することが可能になった。

足元の断熱は基礎断熱とした。断熱材は気密性の保持のしやすさから現場発泡ウレタンを用いた。基礎立ち上がり内側と折り返し500㎜の範囲に120㎜厚を吹き付けた。壁は既存の外壁下地の木摺りに現場発泡ウレタン100㎜厚を吹き付けた。さらに室内側に付加断熱としてフェノールフォーム40㎜厚を張った。天井はセルロースファイバー320㎜厚を吹き込んだ。


壁は現場発泡ウレタンの上から付加断熱としてネオマフォームを張っている(左)
壁にも現場発泡ウレタンを充填。さらに内側に付加断熱を施す(中)
基礎断熱の施工中の様子。現場発泡ウレタン120㎜厚を立上りと折返し部分に施工(右)

これらの断熱改修により、既存のUA 値1・45W/㎡・K から0・24W/㎡・K と大幅に向上した。HEAT20のG2 に相当する数値だ。

リノベーションを手掛けたリューケンハイムでは、この住宅のように新築以上の断熱と耐震性能を確保した住宅を買取再販のかたちで提供することで、注文住宅と分譲住宅に代わる新しい持ち家の選択肢となることを狙っている。

コスト的には延べ床面積35坪の家で2000 万~2500 万円で提供できるという。このエリアでは土地代と新築の工事費を合わせた金額より500 万円程度安いという。

若い層は中古住宅にネガティブなイメージはないため、20代の後半で分譲住宅を選ぶ層をターゲットに年間3棟程度の販売を同社では計画している。


竣工後のダイニングからリビングを見る。両室は1つにまとめられている


リビングからダイニング方向を見る。APW511による大開口を備えた開放的な空間(左)
竣工後の外観。高台に建つ。バルコニーとデッキを新設(右)


玄関は暮らしやすさに配慮してシューズクロークを設置(左)
キッチンからダイニングとリビングを見る(右)


◆改修後の平面図


【1階】


【2階】

S=1:100

【建物概要】

建設地:長野県小諸市 
既存竣工:昭和49 年 
構造:木造2 階建て 
敷地面積:268.73㎡ 
延べ床面積:94.01㎡



更に詳しく「戸建て性能向上リノベーション」について学びたい方は以下冊子をご用意しております。詳細はYKK AP営業担当までお問合せください。




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