住宅デザインを語ろうとするのは、とても難しいものです。その難題の住宅デザインについて、書いてみたいと思いました。できれば住宅の担い手である地域工務店の経営を観点にして住宅デザインを考え、工務店にもできるテクニックとしてまとめてみたいと思います。
連載10回目となる今回は、「デザインを向上させるテクニック② 」というテーマをお送りします。
※前回記事はこちら(前回テーマ:デザインを向上させるテクニック➀)
◆大きな窓のデザイン・テクニック
前回の最初の窓のデザイン・テクニックは、小窓を整理することでした。
続いて、大きな窓が並ぶ、主に南面のデザイン・テクニックを検討してみます。
工務店さんからいただく事例や、出自を隠したプレカット依頼事例の中から、昨今多い片流れの家の設計例を3Dデータとしてつくってみました。小窓と同じように、検証してみます。
1階はおそらくリビングの一角で、家具などを配慮した窓なのでしょうか。そして2階も、個室の使い方として1階とは別に検討しているのでしょう。こうして要望を寄せ集めたような設計を立面図にすれば、上のような住宅デザインになることも不思議ではありません。
ただ、このデザインを見て「素敵だ。この工務店に頼めば良さそうだ」と思う潜在客が、どれだけ生まれる可能性があるでしょうか。重ねて書きますが、住宅デザインは自社の看板です。
早速、左のオリジナルから、小窓の事例と同じように「類同の法則」あるいは「連続の法則」で、中央部のサッシの幅を2階のサッシの幅に揃えたのが右です。
たった1か所のサッシサイズを変更するだけでも、それなりに整って見えます。
それでもまだまだ、手をつけたくなるところがあります。
たとえばさらに「類同の法則」を使って、中央部のサッシの幅寸法を左右のサッシと合わせます。
そもそも3尺とか1間というモジュールに沿って躯体もできあがっているはずです。そのモジュールに従ってサッシの寸法を定めれば、さまざまな部位の寸法も揃うことになります。
さらに、高さも揃えれば、右のデザインとなります。
このファサードの中では、2種類のサッシしかありません。ばらついて見えていた印象は、これ以上を求められないほどに、すっかり解消されています。
でも、正直言って、本当にこれで良いのかという迷いがありませんか。
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