◆注文住宅の選択理由は省エネ、デザイン、災害対策
◆デザイン重視が急拡大
注文住宅において、デザインを重視する傾向が強まっている。
国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査」は、2019年4月~2020年3月に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象に行ったもの。
注文住宅取得世帯に「住宅の選択理由となった設備等」を聞いたところ、全国平均では「高気密・高断熱住宅だから」、 「住宅のデザインが気に入ったから」、「火災・地震・水害などへの安全性が高いから」がトップ3となった。
このトップ3は4年間変わらないが、「間取り・部屋数が適当だから」と「住宅の広さが十分だから」の2項目を加えたトップ5の動きをみると、「高気密・高断熱」と「火災・地震・水害」という性能に関する2項目が減少し、「デザイン」、「間取り・部屋数」、「広さ」という3項目が上昇したことが特徴となっている。特に注目されるのが、昨年3位であった「デザイン」が前年調査から7.1ポイントも上昇したこと。「火災・地震・水害」を抜いて2位になり、さらに1位の「高気密・高断熱」との差も1ポイントを切っている。
「デザイン」は平成28年度調査では6割近い支持でトップであったが、平成30年度、令和元年度と連続して大きく減少し5割を切ったが、今回調査で急激に盛り返した。「間取り・部屋数」は平成28年度調査で5割弱の3位から翌年に数字を落としたが、以降は微増傾向が続いている。「広さ」は平成28年度以降2年連続で数字を落とし、平成30年度と連続して大きく減少し5割を切ったが、平成30年度調査では3割を切っていたものの、以降、急回復で令和2年度調査では28年度を上回る36%となった。
一方、「高気密・高断熱」と「火災・地震・水害」の2項目は減少した。「高気密・高断熱」は令和元年度に前年度比5ポイント増と大きく増加したが、今回調査では同8ポイントの減少と下げ、「デザイン」とほぼ同数字となった。また、「火災・ 地震・水害」は平成28年度調査から毎年数字を上げ、令和元年度調査では54%と2位となったものの、同6ポイントの減少である。
全体的には、性能を求めるニーズが一段落し、再びデザインを重視する動きが強まっているといえる。ただ、近年の省エネ化、災害対策の動きを踏まえると、ユーザーにとって住宅の高性能化は当たり前のものであり、加えてさらなるデザイン性が求められていると見ることもできよう。
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YKK AP 株式会社 発行「メディアレポート 2021.09」
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