この連載では、広告づくりにおける“なんとなく”を解消し、効果を理解しながら使えるちょっとしたテクニックについて、順を追ってご紹介していきます。
前回(第2回)は、まず最初に取り組んでいただきたい工程として、「5W1H」を用いて広告の企画を多角的な視点で問い正してみることについて書きました。
自分たちが何を売りたいか、それをどんな人たちに届けたいかを具体化すること、つまり広告の目的を明確にしておくことで、広告づくりの大きな指針を得ることができるのです。
広告の作成では様々なことを検討しなければなりませんが、その指針があることで検討の幅をぐっと狭めることができます。
いくらでもある選択肢から“なんとなく”直感的に決めるのではなく、目的から導かれた指針に基づいて選択していくことで、広告はより的確に内容を伝えることができるようになります。
今回は、広告の内容を目的に沿って整理することについてお話ししていきます。
広告づくりの序盤のうちにさらに検討の幅を狭めて、選択の精度を上げていきましょう。
◆なんでもかんでもは載せられません
せっかく広告を打つのですから、商品やサービス、自社のこと、なんでも余すことなく伝えられればいいものですが、広告には限度があります。
印刷物やWEBなら掲載面積、映像や音声なら時間、媒体の性質による表現の制約もあるかもしれません。
また仮に、無制限にすべてを盛り込むことができたとしても、それを端から端まで通読してくれる人がどれほどいらっしゃるでしょうか。
つまり、媒体に係る制約にせよ、情報量としての配慮にせよ、広告に掲載する内容を選ばなくてはなりません。何を選んで、何を削るか——
ここでさっそく、前回お示しした「指針」が役立つでしょう。
◆載せたいことの優先順を整理して、取捨選択しよう
商品の特長、広告掲出の季節、掲出媒体のイメージ、想定する販売ターゲット……
この広告で何を達成したいか、「目的」を思い出してみてください。
余すことなく伝えられればと思っていたあれやこれやの情報のそれぞれに、優先度のようなものが見えてきませんか?
いろいろアピールしたいことはありますが、すべてをその広告に載せる必要はあるでしょうか?
年中売れる商品もある中、季節の旬を推したいとか、値下げしてでも在庫を捌いてすっきりさせたいとか、新商品の特長を知ってもらいたい……
このようにアピールの力点がはっきりしている場合は、素直にそれを優先的に、取扱いも大きく掲載するのが適切でしょう。
相対的に他の事項の取扱いは小さくなったり、削減する必要もあるかもしれません。
特定の商材に力点を置かず、できるだけたくさんの商品を掲載することで品揃えをアピールするという方策もあるかもしれません。
その場合も、幅広い品揃えのアピールであればバラエティを意識した掲載となるでしょうし、専門的な品揃えのアピールであれば同系統の商品でバリエーション展開を見せるなど、目的に応じていろいろな選び方が考えられます。
自社の好感度や知名度の向上をねらって、商品やサービスとは異なる、何らかのイメージをもって広告とする場合もあるでしょう。
[A] 特定のセールに力点を置いたアピール(セールの趣旨に遠いものを除外)
[B] 多種多様な品揃えのアピール(個々の取扱いを小さくしてでもたくさんの商品を載せる)
[C] 細かなニーズに沿った専門的な品揃えのアピール(細かな差異の商品を揃えて載せる)
[D] 自社の姿勢などのアピール(販売が広告目的ではないので商品情報は控える)
このようにいろいろな考え方がありますが、広告の目的をきちんと意識して
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