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住宅価格高騰を踏まえ“中古住宅シフト”が鮮明に
住宅市場において“中古住宅シフト”が鮮明となっている。
(公財)不動産流通推進センターのレインズの最新データによると、首都圏エリア別の中古戸建住宅市場は6四半期連続で増加した。25年1~3月の制約件数は前年同期比48.5%増の5,165件、4~6月は同52.0%増の5,504件と、今年上半期だけで同50.3%増という伸びとなった。すべての地域で成約件数の増加が続く。一方、平均価格は3,875万円、同2.5%減と2期間連続の減少が続くが、千葉県や神奈川県などで下落する一方、東京都区部と多摩エリアでは上昇となっている。
(独)住宅金融支援機構の「24年度 【フラット35】利用者調査」でも、こうした中古住宅シフトの傾向が明らかだ。利用状況を融資区分(建て方)別にみると、中古住宅(中古戸建・中古マンション)の利用割合は、前年度から7.4ポイント増加し34.8%へ上昇した。中古戸建は20.5%(同5.2ポイント増)、中古マンションが14.3%(同2.2ポイント増)とともに上昇している。一方、注文住宅は34.9%、同9.3ポイント減と大幅に減らし、中古住宅が存在感を高めている。
こうした状況は、新築住宅の価格上昇にともなって中古戸建住宅の割安感が大きな魅力となっているためだ。
国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査」によると、2023年度に注文住宅を取得した世帯の購入資金(住宅建築資金+土地購入資金の合計)は、平均6,188万円であり、19年度の4,606万円から1,582万円の上昇。分譲戸建住宅も4,591万円と19年度の3,826万円から765万円の上昇となっている。この4年間で新築戸建住宅は価格が極めて高額化している。
こうした中で注目され、人気が高まっているのが中古戸建住宅だ。既存(中古)戸建住宅の購入資金は平均2,917万円。19年度の2,263万円から656万円上昇しているものの、新築戸建住宅に比べて割安となっている。
また、中古住宅市場の拡大は、新築住宅では満たされない消費者ニーズが中古住宅へと流れてきているのではないかという指摘もある。
先の「住宅市場動向調査」によると、中古戸建住宅の購入とあわせてリフォームを行うことが一般化していることが浮き彫りになっている。既存(中古)住宅購入後に自身でリフォームをしたか(1年以内にリフォームをする予定を含む)をみると、既存(中古)戸建住宅取得世帯の43.0%でリフォームを実施しており、もはや「中古住宅+リフォーム」は、住宅市場を支える大きな柱の一つと言ってもいい。
住宅ローン金利の先高感も含め、新築購入に慎重な姿勢をとるユーザーが増えるなか、住宅取得そのものが大きく変わっていきそうだ。

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