断熱改修は1つ1つが特殊解となる。この連載では事例を通じて設計や現場でのヒントをお伝えしていく。秋田県大館市の築四十年超の事例である。家族構成の変化などに合わせて増改築を繰り返してきたが、現在は70代の女性Aさんが一人で暮らしている。現在、健康面は全く問題ないが、この先は分からない。元気なうちに建物の耐久性や性能面などの不安点を補っておきたいと考え、リフォームを決意した。ダイニングからキッチンを見る。ダイニングは居間を兼ねた使い方になっている。主暖房はストーブ Aさんの寝室。ダイニングの隣室になる 寒さが体に堪えるようになってきた特に改善したいと考えていたのが断熱・気密だ。既存の状態はおそらく無断熱で、主暖房にしているストーブの火を落とすと室温はすぐに外気温に近づき、朝起きたときには0度になっている。就寝時にもさまざまな方法で暖をとっているが、Aさんは次第にストレスを感じるようになってきた。現在、居室で使用しているのは主にキッチンとダイニング、寝室なので、このエリアだけが暖かくなればよいというのがAさんの要望であった。最初に見積りをとったリフォーム会社は電気工事店の系列で、断熱改修の提案に関しては、内窓を付けて、床は既存のままで床下から断熱材を入れる、壁は解体して断熱をやり直す、天井に関してはそのままにしておくという提案だった。次にアプローチしたリフォーム会社も断熱に関してはほぼ同じ提案だった。ダイニングの様子。手前の扉の奥は洗面と浴室。真ん中の扉の奥は納戸、奥に見えるのが寝室東面に向いた台所の窓。大きな開口だがアルミサッシのシングルガラス グラスウールによる断熱を提案住まい手に代わってリフォームの依頼先と打ち合わせしていた娘は、天井を断熱しないことに今一つ腑に落ちなかったので ..
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