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2019/05/24 12:32 - No.463


第11回 鎌田紀彦氏「高断熱住宅の課題と技術動向 ④温度・湿度と快適性の考え方」


北海道の高性能住宅を探る
大菅 力

2019/05/24 12:32 - No.463

 
鎌田紀彦氏  室蘭工業大学名誉教授一般社団法人新木造住宅技術研究協議会[新住協]代表理事快適で光熱費の掛からない高断熱住宅の普及に向け、多くの提案と実践を行ってきた鎌田紀彦氏。鎌田氏が考える高断熱住宅の課題や技術動向について聞いていく全4回の連載。第4回は温度・湿度と快適性の考え方について聞く。−前回は「Q1住宅」における換気のお話を中心に伺いました。今回は温度と湿度の関係についてお聞きします。まず顕熱交換型の換気システムと全熱型の換気システムについてどのように評価しますか鎌田 熱交換型換気システムについて考える際には、ヨーロッパと日本の住文化の違いを押さえておく必要があります。ヨーロッパでは、換気の主な目的は水蒸気の排出と結露防止でした。ヨーロッパの伝統的な住宅は組石造で窓は開き窓です。もともと気密性が高いつくりなのです。そうした環境で煮炊きをすると、家中が水びたしになってしまう。そこで水蒸気を排出するために換気システムが発達しました。熱交換型換気システムにおいても水蒸気を排出する顕熱交換型が採用されているのはそのためです。一方、日本の家は低気密で冬は灯油ストーブで暖房をしていました。そしてストーブの上にやかんを置いてがんがん加湿します。文化が違うのです。日本において冬場の過乾燥を防ごうとするのであれば、水蒸気回収のできる全熱型を利用するのが自然です。−冬場の快適性と温度・湿度の関係はどのように考えますか鎌田 多くの人が、快適な環境は室温20℃・湿度60%と思っています。この「湿度60%」という数値には問題があります。冬場、高断熱住宅の湿度は40%くらいになる。高齢者の住まいだと30%程度のこともある。そこで60%を目指して加湿器を付けまくることになる。かつて通気層の実験をし ..
 
大菅 力
フリーランス

1967年東京生まれ。早稲田大学第二文学部中退後、木材業界雑誌の出版社を経て1994年株式会社建築知識(現 株式会社エクスナレッジ)入社。月刊「建築知識」、季刊「iA」などの建築、インテリア専門誌の編集長を務める。2010年退社。 現在フリーランスとして、季刊「リノベーションジャーナル」(新建新聞社刊)の編集長を務める。主な著作に「リフォーム 見積り+工事管理マニュアル」(建築資料研究社)、「世界で一番やさしい仕上材(内装編)」(エクスナレッジ)、「心地よい住まいの間取りがわかる本」(エクスナレッジ)などがある。

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